正解ない探究学習「教員も学ぶ側から始めよ」の訳 まずは自分事として経験、体感することが大事

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学習指導要領が改定され、小学校から高等学校まで広く「探究する学び」が求められている中、「探究型学習」「探究の時間」など、学校教育において「探究」という言葉をよく耳にするようになった。そもそも「探究する学び」とは何か。これからの教育に、なぜ必要なのか。一般社団法人「こたえのない学校」代表理事を務め、世界屈指の探究型学習を行う米ハイ・テック・ハイ校の教育プログラムを日本に導入。「学校の先生にこそ探究する学びが必要」と、教員向けに探究プロジェクトを実施する「Learning Creator’s Lab」を主宰する藤原さと氏に、「探究する学び」の本質と、探究学習を進めるうえで大切なことについて聞いた。

教育界の新しいキーワード「探究学習」

教育界の新しいキーワードとして定着しつつある「探究学習」。2017年改訂の学習指導要領では、探究学習により「問題の解決に主体的、創造的、協働的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにする」ことを目指している。

22年からは、高校においても、新学習指導要領に沿った形で「総合的な探究の時間」が設けられるのに加え、「古典探究」「地理探究」「理数探究」など7つの「探究」科目が設置される予定だ。

「探究する学び」を教育現場で実践できるようになるための教育者向けのプログラム「Learning Creator's Lab」を企画・運営する探究学習のパイオニアの一人、藤原さと氏
(写真:藤原氏提供)

藤原さと氏は、13年に探究学習と出合い、魅了された。その後、「良質な探究の一般普及」を理念に、探究学習をコンセプトとする教育関連プログラムの企画・運営などを行う一般社団法人「こたえのない学校」を14年に設立した。

当初は小学生向けの探究プログラムの企画・運営を行っていたが、現在は教員自身が「探究する学び」を教育現場で実践できるようになるための教育者向けのプログラム「Learning Creator's Lab」を企画・運営。探究学習のパイオニアの一人として、各種研修・講演・執筆活動も行っている。

藤原氏が探究学習と出合ったのは、会社勤めをしながら保育園に通う娘さんの子育てをしていたときだ。

「自分自身はいわゆる“教育ママ”ではなかったのですが、小学校からの授業のことは漏れ聞こえてきて。『知識詰め込み型の一斉授業を受けたり、100点を取るための勉強をさせるだけでよいのだろうか』とモヤモヤしていました。またその頃、娘が通っていた公立保育園の父母会長に選出され、園の運営に協力したり、子どもたちの催しを企画したりする中で、地域の子どもたちに対して何かできることがあるのではないかと考え始めました。そこでいろいろ調べ始め、国際バカロレアの初等教育のプログラムで、PYP(=Primary Years Programme)と呼ばれる探究プログラムの存在を知ったのです。知識を覚えてテストを受けるだけではなく、『私たちは何者なのか』『私たちはどのような場所、時代に生きているのか』などのテーマで、具体的にさまざまな活動を通してじっくり学習していくスタイルや『概念をベースとした探究』の考え方に衝撃を受けました。

このような教育プログラムを一般の人たちにも伝えたい、学校で先生から学ぶことも大切だけれど、学校の外にいるユニークなキャリアを持つ大人たちから学ぶ機会をつくりたいという思いから『こたえのない学校』を設立し、保育園のママ友達とともに、小学生向けの探究型キャリア教育プログラムをスタートしました」

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