国際会計基準戦争【完結編】 磯山友幸著 ~IFRSの光の部分を知る

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 IASBはものづくり企業が重視する純利益の表示を禁止して、企業の「清算価値」「即時処分価値」を計算表示させようとしていることを、どう判断すべきか。IFRSは連結財務諸表に適用することを想定して設定されているにもかかわらず、日本は個別決算にも強制適用しようとしていることを、どう考えるべきか。さらに、IFRSがとる原則主義では、期待に反して世界中の実務が極端に多様化しかねないことなど、問題点は少なくないはずだ。

IASB議長は30年にわたる熱烈な時価主義者である。米国がIFRSへ強く介入するにつれ、EUと米国の間に不協和音が広がってきている。IFRSのおひざ元の欧州ではIASB潰しともとれる動きが活発になってもいる。IFRSを採用する姿勢を見せてきた米国が、IFRSを採用するふりをしながら「足踏み」「後ずさり」してきてはいないか。本書で、こうした点にも触れてほしかった。

とはいえ、IFRSの光の部分を知るには格好の本であることは間違いない。中島氏の本とともに一読をお薦めする。

いそやま・ともゆき
『日経ビジネス』副編集長兼編集委員。1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長など経て、2008年から『日経ビジネス』副編集長、10年から現職。

日経BP社 1890円 303ページ

  

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