若者の投票率低迷は「主権者教育」でどう変わるか ドルトン東京学園「1票の重み」伝える授業の中身
22年にスタートする「公共」は、主権者教育の「1丁目1番地」
18年に高校の学習指導要領が改訂され、22年度から「現代社会」に代わる必履修科目「公共」がスタートする。「公共」は、文部科学省が進める「社会に開かれた教育課程」の中で新しく登場した科目だ。
従来の「公民」でいうところの政治、経済、法律などの知識を身に付けるだけでなく、政治的な事象に自分事として関心を持ち、積極的な投票行動に結び付けていくような若者を育成するべく、「主権者教育の1丁目1番地」のような役割を果たす科目として期待されている。
大畑氏は「公共」の教科書の制作にも携わり、これまで授業で実践してきた地域の課題を見つけて改善方法を考える取り組みや、実際の選挙を題材とした模擬選挙のページなどを担当した。
21年4月に着任したドルトン東京学園では、中等部3年生の社会科を教える大畑氏。10月または11月に行われる衆議院選挙は、主権者教育の絶好の機会だ。
「今年は秋に衆議院選挙が行われることを鑑み、1学期に経済分野、2学期に政治分野の授業を行うよう年間計画を立てました。近々、選挙の日程に合わせて模擬選挙を行う予定です。個人学習やグループ学習で各政党の政策を調べてクラス内で投票し、実際の選挙結果と比較することで、選挙や政治をより身近に感じてほしいと思っています。今後は、模擬選挙に加え、生徒が自分たちで政党をつくるような授業も行いたいですね。『日本をよくするためには』、『どんな社会がよいのか』といった視点で、政党名、キャッチフレーズ、政策を考えてプレゼンテーションし、考察を共有し合う。社会的な課題を取り上げて検討し、学校の中だけでなく、家庭や地域、議会や行政、企業、NPOなどと連携しながら解決のあり方を考え、授業を通して生徒たちが『自分たちで国をつくっていく』という意識を培っていくことが大切だと思います」

ドルトン東京学園中等部・高等部社会科主任
1977年東京都目黒区生まれ。早稲田大学商学部および政治経済学部政治学科卒業。私立中学校・高等学校、都立高等学校勤務を経て、2021年度より現職。上智大学非常勤講師を兼務。主な関心分野は主権者教育、法教育、キャリア教育、ESD。高校公民科教科書『公共』(東京書籍)編集委員、国立教育政策研究所「評価規準、評価方法等の工夫改善に関する調査研究」協力、厚生労働省「労働法教育に関する支援対策事業」協力、国際パラリンピック委員会公認教材『I’m POSSIBLE』制作協力、NHK for School「昔話法廷」企画協力など。共著に『ライブ!主権者教育から公共へ』(山川出版社)
(撮影:ヒダキトモコ)
(企画・文:長島ともこ、注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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