学校から引っ張りだこ、芸人「オシエルズ」の正体 「笑いを取りたい」の前に大切なのが環境づくり
誰かが誰かの面白い先生であればいい
――学校をはじめ先生や教育関係者に、お二人だからこそ伝えられることはありますか。
野村 僕たちは約3年間ですが教員を経験し、学校の先生のことは非常に尊敬しています。子どもたちのために多くの時間を費やして頑張っている、すごい職業です。前提としてまずそれがあります。
矢島 よく相談されるのですが、先生は芸人ではないので、面白いことができないことへのコンプレックスは持たないほうがいいです。同僚の先生のように、人気者になりたいと思う必要はありません。全員に好かれる先生はおらず、支持される人数が多いことが重要ではないと思います。誰かが誰かの支えになっていればいいと思うんです。例えば、物静かで落ち着いている先生だからこそ、相談できる児童・生徒はいます。誰かが誰かの「面白い人」であればいい。僕の学生時代にも、すごく人気のある先生ではないけれど、つねに決まった生徒に支持されている先生がいました。逆に僕みたいなおしゃべりな先生には、生徒は秘密を話してくれないんです(笑)。
野村 子どもに多様性を求めるのであれば、先生も同じだと思います。学校や先生によっても悩みはそれぞれで、仕事の依頼を受けたときも、僕らが最初からワークショップの内容を提案するわけではありません。悩みを聞いて、僕らができることを提案して、オーダーメイドで一緒につくり上げていきます。これからもそういうふうに話し合いながら、活動をしていきたいです。
――今後の目標などはありますか?
野村 現在は中学校、高校を訪れることが多いですが、小学校の訪問も増やしたいですね。ワークショップのインプロで一緒に舞台をつくるのに、小学生は非常に相性がいいです。止めないと終わらないくらい、盛り上がることも。小学生は自分が傷ついていることにすら、気づいていない子も多いです。そういう子どもたちに、“イヤなことはイヤと言っていい”ということを、もっと伝えたいですね。
矢島 訪問後にもらった手紙に、僕たちのワークショップをきっかけに、自分がいじめられていると気づき、先生に相談できたという声があり、うれしかったですね。もう少し小学校にも訪れやすい環境や、授業として取り入れてくれる制度などができるといいと思います。

左が矢島氏、右が野村氏。2013年3月にコンビを結成。14年に矢島氏が代表となり「FUNBEST」を設立。お笑いライブのネタやMCはもちろん、学校や企業を対象に講演、ワークショップ、研修などを行う
(文:酒井明子、撮影:尾形文繁)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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