世界各国の外貨準備は「ドル離れ」が続いていく デジタル人民元、ユーロ共同債など材料も多い

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片や、1~3月期に比率を上げたのは人民元とカナダドルで、それぞれ2.45%と2.11%、共に過去最高だった。だが、1~3月期の人民元は対ドルでプラス0.3%とほぼ横ばいで、カナダドルは対ドルでマイナス1.3%と下落していたので、純粋に数量要因として買われた可能性がある。その後、この2通貨は4~6月期に大きく買われ、年初から6月30日までの上昇幅がそれぞれプラス1.1%、プラス2.8%に達していることを考えると、中銀や財務省、政府系ファンド(SWF)といったリザーブプレーヤーの買いがその端緒になった可能性もある。

明確に多様化しているリザーブマネーの配分先

とはいえ、上述はあくまで3カ月間の話であって、四半世紀にわたってドル比率が低下してきたことは厳然たる事実であり、リザーブマネーの運用多様化はやはり新たな潮流として認める必要がある。

図はユーロ誕生以降の各通貨の比率を一覧したものだが、この間、ドル比率はマイナス11%ポイント以上も低下している。この低下はユーロ(プラス2.45%ポイント)、円(マイナス0.14%ポイント)、英ポンド(プラス1.96%ポイント)、スイスフラン(マイナス0.06%ポイント)といった伝統的な主要通貨の動きでは説明できず、最も比率を伸ばしている「その他」(プラス7.44%ポイント)の動きを考える必要がある。

ここで「その他」には1999年3月末時点では未公表だった豪ドル、カナダドル、人民元を含めているが、2021年3月末時点でこの3通貨を合計すると6.38%ポイントである。これで説明できない2.74%ポイントはこの3通貨以外に配分されており、おそらくは1999年3月末時点ではゼロに近い比率だったと推測する。リザーブマネーの配分先は明確に多様化している。

次ページ着々と増える「ドル離れ」を助長しそうな動き
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