「超エリート集団」が手がける塾、今なぜ人気? 東大でも学べない「答えのない問題」解く力育む

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「現実の世界で、CMを評価するのは消費者です。講師である僕たちでも、制作した本人でもありません。逆にアーティストであれば他人がどう思うかは関係なく、自分の絶対的評価で表現したいようにできますが、CMだとしたら、そうではないよね、というところまでみんなで話し合います。世の中の仕組みや成り立ちを知ることで、評価基準が職種や職業で違うこと、さまざまな生き方があることを子どもたちは理解します」

子どもたちが実際に移動販売車を使って、飲食店を立ち上げる“ビジネスの点火”の授業。活発な話し合いで計画を立てていく(写真:デルタスタジオ提供)

さらに講師の立場からの縦の評価だけでなく、チーム内の子どもたち同士で横の評価をすることも心がけているという。それによって、子どもたちは自分自身で気付いていなかった自分の能力や才能に気がつく。また、他者を認め合うことを自然に学んでいく。高学年になるとレーダーチャートを使って、ロジカルに考える力、クリエーティブに考える力、リーダーシップの発揮の仕方など、その子が持つ強みを、より具体的に伝えるようにしている。

「自分はこれが得意だと知ることで自己肯定感が上がり、自信がつく。子どもたちの表情も、性格もみるみる変わっていくんです」と、渡慶次さんは目をキラキラさせながら語る。学校教育では先生から生徒に対しての絶対評価のみになり、生徒同士の相互評価の機会はない。だが、実際の社会では評価基準はがらりと変わる。CMを作ったり、お店を企画して実際に販売するまでのビジネスを体験したり、オリジナルムービーを制作したり、デザインや建築を学んだり、その業界や社会の構造を体験しながら、子どもたちは好奇心と才能に火をつける機会を得て、学んでいく。

「人間にはいろいろな才能があります。一見おとなしい子やシャイな子も、すばらしい感性や表現力を持っていたりします。プログラムを通じて、さまざまな知的能力を試す過程で自分自身の本質を捉え、自分でも気づいていなかったクリエーティブな才能を知る子もいます。将来は建築家になるのかもしれないし、作家になるのかもしれない。僕たちがしていることはキャリア教育ではありません。自分が得意なものを見つけることで、最終的に自分がどう生きるのか、何をやりたいのかを知ることできる。そのためのインスピレーションを受け取ってもらえる場を提供し続けたいと考えています」。そう語る渡辺さんが向けるまなざしは、とても優しい。

社会人向けプログラムも同時展開の魅力

デルタスタジオがユニークなのは、このプログラムが大人に対しても用意されているということだ。通常子ども向けの塾で、大人に向けた研修プログラムなども提供しているというのはあまり聞かない。こちらのプログラムが対象としているのは、社会人1年目から社長まで。次世代リーダーの育成や、イノベーションを起こす人材を育てるプログラムを提供している。企業名は出せないものの、参加しているのは世界を代表する一流企業だ。この企業向け研修プログラムで得た知見は、子ども向けプログラムにも反映される。子ども向けと大人向け両方のプログラムがあり、インタラクティブに作用している点が非常にユニークだ。

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