自ら勉強する子が育つ「自由進度学習」の効能 小金井市立前原小、従来と一線画す授業の中身

子どもたちにとっても、スクールタクトでお互いの「めあて」や「振り返り」を閲覧することができるのが大きなメリットだ。「周りの友達が書いた内容を参考にすることで、よりよい『めあて』や『振り返り』を書けるようになった」という児童も多いという。
「自分の解答やテストの点数を隠したがる子がいなくなった」「自分に甘い目標設定や評価をしなくなった」「先生に質問ばかりしていた子が、自分で考えるようになった」など、学びに対する子どもたちの“マインド”の変化も見逃せない。
「当たり前ですが、子どもは一人ひとり違います。『自分はこうすればすぐに覚えられるんだ』『こう考えれば理解できるんだ』というテクニックのようなものは、その子にしかわからないですよね。だからこそ、自由進度学習を通して、まずは成長の実感を持つことが大切。『できるから楽しい!』という学びの喜びを増やしていきたいですね」
教員も一緒に学ぶことで、子どもも学校も育つ
当初は23年度を目指して進められてきたGIGAスクール構想だが、新型コロナウイルスの影響により前倒しとなり、20年度中にほとんどの小中学校で1人1台の端末とインターネット環境が整備される。
ICT教育は、児童生徒にとって個別最適で多様性のある授業を実現するための手法として期待されているにもかかわらず、ICT機器やネット環境の整備の問題、教員のITリテラシーの格差、ICT教育環境の地域差などにより、「本来の目的が現場に浸透していない」といった問題が生じているのが現状だ。
自由進度学習のみならず、公立学校のICT教育のフロントランナーとして多数の研究授業やセミナー登壇経験を重ねてきた蓑手氏に、日本のICT教育のこれからについて聞いてみた。
「ICT教育は、子どもが自分で考える力や創造力、みんなで学び合う力などを育み、時代が求める新しい学びの実現に有効な手段だと思います。ただ、学校や先生って、新しいものやシステムに対する警戒心がなきにしもあらずで、トラブルや失敗を避ける傾向が少なからずあるように感じます。自分が『知らない』『わからない』ということを恐れず、まずは教員同士がつながって、草の根的に学び合うことが大切だと思います。『子どもたちのさらなる成長』という本来の目的を忘れず、教員になりたての頃の熱い思いを思い出し、学び続けることで、子どもも学校も育っていくのではないでしょうか」
(写真:すべて蓑手氏提供)
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