誘拐や詐欺被害も「子どものSNS」トラブル事情 小中学生、高校生、大学生の利用実態と対策

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学業不振や家族・友人関係などのトラブルから、オンラインゲームに逃避してしまい、昼夜逆転の生活になったり不登校になる生徒も増えてくる。SNSやゲームの利用時間が増え、交際範囲が広がる一方で、はまってしまい抜け出せない生徒が目立つようになる。

中高生になるとペアレンタルコントロール機能などを嫌ったり、保護者の言うことも聞かなくなりがちだ。しかしリテラシーが突然高くなるわけではないので、ルールを決めたり、周囲の大人による利用の見守りがとても大切だ。

〈中学生・高校生におけるSNS利用の特徴〉
・中学生でスマホを持つ生徒が一気に増える
・中学生になるとSNSを利用する生徒が多数派となり、利用するSNSの種類と投稿も増える
・高校生になると、ほとんどの生徒がSNSを利用するようになる
・自撮り写真や動画を投稿することが当たり前となりトラブルも増える
・SNSの利用時間が増え、はまって抜け出せない生徒が目立つようになる
・ペアレンタルコントロール機能を嫌ったり、保護者の言うことを聞かなくなりがち

詐欺のターゲットになり、バイトテロを起こす大学生

大学生にとって、SNSは必須のツールだ。入学前から大学用のアカウントを作成し、同じ大学に入学する同級生たちと交流、情報交換をする。しかし、同時にSNSで事件や被害にも巻き込まれている。

持続化給付金不正受給での大学生の大量逮捕が相次いだが、SNSはこの勧誘にも使われた。「先輩からLINEで『税理士がついているから大丈夫。誰でももらえるから』と言われて、書類までそろえた。コロナ禍でバイトが激減していたから、手数料を渡しても数十万円もらえるのは魅力的だった」とある大学生は語る。「家族に話して止められたため送らなかったが、話さなければ自分も送っていたと思う」。このような不正受給は、半グレ組織によって組織的に勧誘が行われたという。

大学生になるとSNSで事件や被害に巻き込まれるケースも出てくる

Twitterなどでは大学生をターゲットとした受け子・出し子などの闇バイト募集、高額就活セミナー、投資詐欺・情報ビジネスなどの「モノなしマルチ商法」であふれている。そもそも大学生は、クレジットカードも作成でき、借金もできる年齢のため、詐欺のターゲットにされやすい。そのうえSNSで検索することが多く、一人暮らしをしていて保護者に相談しないケースも多く、リスクが高まる。

TwitterやInstagramなどのSNSへの不適切投稿で炎上事件を起こす例も多い。バイト先で撮影した不適切な写真や動画を投稿して炎上するのが、いわゆるバイトテロだ。たとえ24時間で消えるInstagramのストーリーズなどでも不適切なものは投稿しないような指導が必要だ。

〈大学生におけるSNS利用の特徴〉
・SNSは必須のツールであると同時に、事件や被害に巻き込まれるケースも出てくる
・クレジットカードの作成、借金もできる年齢のため詐欺のターゲットにされやすい
・一人暮らしをしていて保護者に相談しないケースも多く、リスクが高まる
・不適切投稿で炎上事件を起こす例も多い

リテラシーを育て相談できる関係性を大切に

高橋暁子(たかはし・あきこ)
ITジャーナリスト
東京学芸大学卒業後、東京都で小学校教諭、Webの編集者などを経て独立。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『できるゼロからはじめるLINE超入門 iPhone&Android対応』(インプレス)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』 (日本実業出版社)など著書多数。SNS、10代のネット利用実態とトラブル、スマホ&インターネット関連事件等をテーマとして、NHK「あさイチ」、NHK「クローズアップ 現代+」などメディア出演多数。文部科学省委託事業「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員なども務める
(写真は高橋氏提供)
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