ITやプログラミングから女子中高生が遠のく訳 女性の活躍を阻む「無意識バイアス」の壁

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「女の子らしさ」にフォーカスするのではなく、むしろ、女子中高生を、従来式ステレオタイプの女の子らしさから解放したいと語る。

先生や親からのエンパワーメントも重要

一方、Waffleが提供している中高生向けのオンライン・コーディングコース「ワッフルキャンプ」は、受講対象者を女性に限定している。それは、10代の子どもたちは、自分の興味・関心事と、目の前の教科や学びをどれだけ結び付けられるかが、とても重要になるからだという。ワッフルキャンプでは、受講者はHTMLやCSSを学びながら、実際に自分の好きなテーマでWebサイトを作るが、自分の興味対象を扱うには女子だけの場にしたほうが盛り上がるそうだ。

オンライン・コーディングコース「ワッフルキャンプ」の参加者は中学1・2年生や高校1年生が中心(提供:Waffle)

ワッフルキャンプの参加者は、本格的な受験勉強が始まる前の、中学1・2年生や高校1年生が中心。オンラインというだけあって、居住エリアは、首都圏と地方の比率が半々だという。キャンプでは、現在はなかなかお目にかかれない「現役IT職女性」と話をする機会も設けられていて、リアルなロールモデルに触れることで、文系から理系へと進路を変更した生徒もいる。

田中氏と斎藤氏によると、10代の子どもは、先生や親の影響を強く受けるので、身近な大人の無意識バイアスを整えることも必要だという。

例えば、親が「プログラマー=男性」という無意識バイアスを持っていると、自分の子どもの性別によって、その学びに対する機会提供の頻度に差が生じやすい。息子にはプログラミング教室を勧めるが、娘には勧めないといったことが起こるのだという。子どもは同性の親の影響をより強く受けるそうで、女の子であれば、母親からの影響度が強くなる。

実際に、ワッフルキャンプの参加者の母親は、現在IT業界で働いている人である割合が高い。母親が、専業主婦・非IT業界・非IT職であった場合、母親の無意識バイアスよって、ITに興味がある娘の可能性を阻害する「親ブロック」がかかる可能性があるのだ。Waffleでは、講演活動などを通じて、保護者に向けてこのような無意識バイアスに対する理解を促す働きかけも行っている。

田中氏と斎藤氏は、「学校の先生の影響力は本当に強く、先生の一言が、その子の将来の進路を大きく変える可能性がある。先生には、私たちみんなが無意識バイアスを持っていることを知り、意識して女子生徒にプログラミングやITを学ぶ機会についての情報提供を行ってほしいです」と訴える。

(注記のない写真はiStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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