プジョーの出資交渉が消失、三菱自動車の前途多難

ただ、腹案はある。「グローバルスモール」と呼ぶ現在開発中の新型小型車だ。構想は以前からあったが、「11年には発売し、その1年後にはEV化もする方向で進んでいる。生産拠点はタイが有力候補。40万台、50万台は造って量産効果を出したい」と、益子社長はインタビューで具体的な方策を語っている。

爆発的な需要増加が見込める新興国の中間所得層に向けた小型車の参入は、もっともな着想。それだけに他の強豪メーカーの戦略もまた、同社のそれと寸分たがわない。

小型車競争も出遅れ

交渉決裂の舞台となったジュネーブには、カルロス・ゴーン日産自動車社長の姿もあった。「グローバルコンパクトカー」と呼ぶ新型小型車を世界で初披露するためだ。ゼロから開発した車体は部品点数を4割削減し、価格はわずか1万ドル(90万円)ともいわれる。新型マーチをはじめ3車種を展開し、13年には世界で100万台の販売を計画。「この車ですべてが変わる。今や日産は、小型車領域のトップレベルで戦う態勢が整った」(ゴーン社長)。

年初のインド自動車ショーでもトヨタ自動車、ホンダがやはり安価な小型車構想を発表した。三菱自はこうしたビッグプレーヤーを相手に戦わなければならない。懸案の優先株は一部が14年6月以降に普通株へ強制転換される。遅くともこの節目までに再建に一定の道筋をつける必要があるが、すべての株主会社があと4年も悠長に待っているとも思えない。資本提携という好機を逃した今、代わる強力な一手が求められる。

■三菱自動車の業績予想、会社概要はこちら

(松浦大、高橋由里 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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