偏差値35から東大合格、超効率的「努力」の中身 最速で目標到達する“東大生の共通点”とは?

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しかし、ある日のこと、先生から『もしかしたら東大に行けるかもしれない』と言われたことで、東大を意識するようになりました。

家から通える、最も近い国立大学が東大だったこともあって、もし本当に東大に入ったらカッコイイかもしれないとも思いました。その決意を、あえて周囲に伝えることで、自分でも逃げられない状況をつくっていきました」

高3の夏から東大を意識した勉強を始め、金銭的な理由から学習塾にはいっさい通わず、偏差値55から65までは伸ばすことができた。しかし、それ以上、成績が伸びることはなかった布施川さん。

「東大に特化した勉強をしていたため、現役では東大も私立大学もすべて落ちてしまいました。結局、就職するしかないかな、と思っていたのですが、祖父母が資金援助をしてくれたので、最後のチャンスだと思って予備校に通い始めました。

浪人生になってからは、まずは各科目・各分野の得意・不得意を明確にしました。そのうえで、いろいろな角度から東大の入試問題を分析し、自分が不得意で、かつ東大入試で問われることを重点的に身に付けるという勉強法に変えました。

自分なりの“勉強の型”を探っていたのです。

生活のためのアルバイトもしていたので、とにかく限られた時間で、優先順位をつけて効率的に勉強することに努めました。結果的に、夏の東大模試ではC判定でしたが、最後の模試でベストスコアをたたき出し、入試直前まで五分五分の可能性だったものの、何とか東大合格を果たすことができました」

東大新入生が語る「間違ったときこそ、チャンス」

では、直近の東大受験をくぐり抜けてきた人はどうなのだろうか。文科二類1年生の遠山さくらさんは県立の進学校から1浪して今年東大に合格したばかり。

遠山さくら(とおやま・さくら)さん。東京大学文科二類1年生。今はオンライン授業を展開している東大。オンライン授業も楽しんで受けているそうだ

「東大に合格するにはどれくらいの学力を身に付けていればいいのか。現役時代は自分に足りないものは何かを、つねに分析して勉強しました。

しかし、浪人時代はその思考の枠組みを変えて、与えられた情報や状況の中で、どのように答えを出していくのか。その思考過程をより意識するようになりました。それこそが東大入試で問われるものだったからです。

間違ったときも、なぜ間違えたのか、その理由をカテゴリー分けして、知識不足なのか、あるいは思考過程が問題なのか、その原因を探るようにしました。間違いを単なる間違いとして終わらせるのではなく、なぜ間違えたのかを徹底的に突き詰めるのです。

東大受験では、単なる暗記ではなく、思考力やアウトプット力を身に付ける必要がある。そのために、間違いの中からも自分なりの“型”を身に付けるように努め、合格することができました」

小さい頃から、努力の回転量を上げて“型”をつくる

こうして東大生の勉強法を見ていると、課題に対する解決策を探す能力が高いことに気づくだろう。課題解決の方法論として、努力の中から自分なりの“型”をつくり上げ、効率よく努力を重ねていくことが大きな特徴の1つなのだ。

では、それを頭でわかったとしても実践できない普通の受験生に足りないものとは何か。西岡さんが次のように語る。

「カメラに例えれば、多くの受験生はピンボケの状態で自分の実力を見ているのでは、と感じます。勉強は具体的にすればするほど、“型”や方向性が見えてくるものです。問題を解決するには、より鮮明に、深く自分の実力を見ることが大切なのです。

勉強自体も単に数学の勉強をしようと思っては駄目で、具体的に青チャートの120ページから150ページまでを1時間で終わらせるなど、細かく設定をする。そのとき間違った箇所があれば、なぜ間違ったのか、その原因を突き詰めて考えるといったように思考することが重要なのです」

さらに言えば、自分なりの“型”をつくるには努力の回転量を上げていく必要がある。失敗を重ね、なぜ失敗したかを分析し、現状を可視化する。それを素早く、何度も繰り返すことで、自分独自の気づきを早く得ることができる、と西岡さんは言う。

そして、それは受験生だけに限ったことではない、と西岡さんは語る。むしろ、小さい頃から自分の“型”を見つけることは、有利なことなのだという。

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