超訳 古事記 鎌田東二著

超訳 古事記 鎌田東二著

稗田阿礼(ひえだのあれ)が口述し、太安万侶(おおのやすまろ)が書き留めた古事(ふること)の世界を、現代に作業として再現したらどうなるか。旧年の真夏、1日は自宅、1日は出版社の、いずれも畳の上に寝そべりつつ目をつぶり、記憶とイメージのままに語り歌い、編集者が記録して本書は出来上がったという。抄訳でも意訳でもなく、著者によれば「超訳」が生まれた。内容は上巻の神話部分、天地開闢(てんちかいびゃく)から神武天皇の出生までだが、古老による語りの形をとらず、著者は地の「である」調と話し言葉では「です」調も織り交ぜつつ一気呵成に自由語りする方法を選んだ。

興の趣くままに語った結果として、抜き語りになっている個所も当然あり、イメージが飛翔するがごとき個所もあって、読者は古事記の世界に奔放に誘(いざな)われ遊ぶことを得るだろう。三浦佑之『口語訳 古事記』(文藝春秋)によって全文と注釈を併せ読めば、興趣、理解はいや増すはずである。「鎌田阿礼」による中・下巻訳も期待したい。(純)

ミシマ社 1680円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 買わない生活
トレンドライブラリーAD
人気の動画
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT