そこまでやる?新幹線の「コロナ対策」初公開 車両基地内で消毒、乗務員も巡回中に消毒

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最近はネット予約で乗車する利用者も増えており、JR東海によれば、2019年度末時点で指定席におけるネット予約の比率は4割を超えた。駅で並ばず切符が買えるネット予約は新型コロナウイルスの感染を避けるという点で、今後さらに普及するかもしれない。

隣が空いていると思って席を予約したら、その後に別の人が隣の席を購入してしまうというケースも起こりうる。その場合は「車内でも、状況に応じて柔軟に座席の変更にお応えします」(JR東海)という。

切符売り場には当日の新幹線の予約状況を示すパネルが設置されている。ふと見ると、11時20分東京発秋田行きの「こまち」はグリーン席が売り切れとなっていた。同じく11時20分東京発新青森行きの「はやぶさ」もグリーン席が「空席残りわずか」の状態だった。グリーン席は数が少ないとはいえ、運行本数を減らしているだけに行先や時間帯によっては席数不足が起こりうる。

満員になったらどうなる?

緊急事態宣言が解除され、これから利用客が増えていく。東海道新幹線は5月11日から「のぞみ」の運転本数を2019年度の1日平均230本から101本へと半減したばかりだったが、22日には「6月1日から定期列車について元に戻す」と発表した。これによって平日ののぞみは164本となる。27日には、5月29日の18〜19時台にのぞみを上り下り3本ずつ追加運転すると発表した。このように矢継ぎ早に運転計画を変更するのは、「利用客が増えて混雑する前に本数を増やしたい」(JR東海)という狙いがある。

利用客が増えるというが、現状では全席が埋まる状況ではない。だが、お盆休みの時期ははたしてどうなるか。JR東海は「どこまで利用者が戻るか心配」というが、逆に、満席になったときも心配だ。予約を制限して、映画館のように1〜2席ずつ座席の間隔を空けて販売するといったことはできないだろう。新幹線が満席で走るのであれば、感染対策を万全にしておく必要がある。その意味では、現在行っている感染対策は将来の予行演習といえるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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