【産業天気図・通信】通信事業者は安定的。携帯販売代理店も販促費拡大が追い風
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
通信業界は2009年10月~10年3月が「曇り」、10年4月~9月は「晴れ」に一段改善する見通しだ。携帯業界最大手のNTTドコモ<9437>が、来10年度はデータ通信収入の拡大で業績が上向くと期待できるためだ。
通信事業者の収益は累計契約者から徴収する月々の通信料に支えられている。ストックビジネスであり、全産業の中では比較的安定している。主要各社の10年3月期の業績は、ドコモが前期比横ばい圏。4~9月期の営業利益は前年同期比15.9%減と低調だった。従来に比べ端末価格が高く、代わりに基本料金が安い「バリュープラン」が浸透し音声収入が減少したことが響いた。だが、期末商戦で投入する販売促進費の調整などで、下期の挽回は十分に可能とみられる。
一方、携帯通信キャリア3社のなかでもっとも勢いがあるソフトバンク<9984>は、前期比2割もの大幅営業増益となる見込み。契約者の純増数で首位を走るほか、4~9月期には減少が続いていた顧客あたり収入も四半期ベースで増加に転じた。これはアップル社製高機能端末「iPhone(アイフォーン)」の好調などでデータ通信収入が拡大し、音声収入の減少を補っていることによる。競合他社に顧客あたり収入が下げ止まっている企業はほかになく、今後も当面はソフトバンクが業界をリードする展開が続きそうだ。KDDI<9433>も連続営業増益が見込まれる。
また、携帯販売代理店業界も期初の予想以上に堅調だ。端末の販売台数自体は市場全体で減少傾向にあるが、顧客の囲い込みを目的とする通信事業者からの販売促進費拡充が追い風となっている。業界首位のティーガイア<3738>が今10年3月期の業績予想を上方修正したほか、同2位のアイ・ティー・シーネットワーク<9422>も着実。中でもソフトバンク専業のベルパーク<9441>は「アイフォーン」の販売が好調なこともあり、営業利益は前期比倍増という躍進ぶりだ。
(桑原 幸作)
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