流行の「骨盤矯正」を医師が危ういと感じる根拠 「骨盤の歪み」は整体・カイロでは治せない?

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大手チェーンを中心に、「骨盤矯正」を前面に打ち出す接骨院が広がっている(写真:MJG接骨院の公式ホームページ)

接骨院の大手業界団体、日本柔道整復師会は取材に対して、「骨盤矯正は、自費治療メニューの1つとして各院が提供しているが、接骨院運営を行う国家資格者である柔道整復師の本来の業務範囲ではない。自費の範囲内で、柔道整復師がどこまで自由に治療を行っていいかは、今後業界として詰めていかなければならない課題であると考えている」と答えた。

また日本カイロプラクターズ協会は「当会では、安全性と広告に関するガイドラインを発表し、安全教育プログラムを開講した。こうした規制はカイロプラクティック業界全体への強制力はないが、行政と連携しながら、業界全体にさまざまな自主規制を呼びかけている」と回答した。

慢性腰痛を軽視してきた医者にも責任

「骨盤の歪み」「骨盤矯正」という言葉はナンセンスだとしても、仙腸関節の機能異常として捉えるならば、あながち医学的に無根拠というわけではなさそうだ。ただ、ちまたに骨盤矯正の施術所が溢れかえっているのとは対照的に、実際に有効な治療を施せる治療院はおそらくほとんど存在しないという現実については、もっと注意が向けられていい。

一方、終わりに医師側の課題についても触れておかなければならない。

評価が高まってきたとはいえ、多くの整形外科で仙腸関節の治療を受けられるようになるまでには、まだ遠い。腰痛で医者をたずねたものの「問題ありません」と診断され、痛み止めだけ処方されて帰らされた患者は少なくない。骨盤矯正はそうした不満の受け皿として、発展してきた側面もまた否定できないのだ。

「骨盤矯正をはびこらせたのは、慢性腰痛に向き合ってこなかった医師の責任」と、ある整形外科医は自戒を込めて打ち明ける。専門知識を有した医師による仙腸関節治療のさらなる普及が望まれる。

西澤 佑介 東洋経済 記者

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にしざわ ゆうすけ / Yusuke Nishizawa

1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

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