政策研究の地平へ GRIPSの挑戦 吉村融著
政策志向のわが国初の大学院のみの大学がどのようにして誕生したのか。苦闘の歴史とその実績を記した、大学版ベンチャーの改革・成功物語である。
政策研究大学院大学(GRIPS)は、東京・六本木の国立新美術館の隣接地に瀟洒(しょうしゃ)なキャンパスを構える。数々のタブーを破り、ビジョンを実現させてきたが、そこには政策研究に不可欠な理系と文系の学問的融合・総合化を達成させた哲学徒としての著者の見識と力業が必要であったようだ。
国際交流の拡大には、アジア内外の留学生・行政官を教育して多大な実績を上げた。当初、旧文部省は英語での授業を許さなかったが、粘り強い交渉で画一的な官僚統制をはね返した。異色な人材を集めての学際的協力、政官学の交流・深化等、通常の国立大学ではまずありえないユニークな試みも、理があれば突破できるとの信念で実現させている。都心一等地の立地秘話も興味深い。
出版文化社 2100円
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