「日経平均の底値は2万円前後」と考える根拠 これ以上「なかなか下がりにくい水準」がある

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日経平均はそろそろ底値をつけるのだろうか(写真:konekko/PIXTA)

令和に入ってから、日本株の下げ基調が続いている。一方で、「さすがにここからの下値は限られる」との見方も増えている。今後の相場を見るうえでのポイントは主に2つ。割高か割安かを測る指標として使われる株価純資産倍率(PBR)と、需給での鍵を握るとされる、信託銀行の動向だ。この2つを軸に、5日以降の株価の方向性を探ってみた。

日経平均株価は、株価指標面からは「ほぼ底値圏」

株価純資産倍率(PBR:Price Book-value Ratio)という株価指標がある。これは、現在の株価が割安か割高なのかを判断する代表的なモノサシのひとつだ。1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)に対し、何倍まで買われているのかを示す。もしPBR1倍を割っていれば帳簿上の解散価値に下回っていることから、割安ゾーンとみなすことができる。もちろん、業種によっては最近PBR1倍水準を大きく下回ったままの銘柄もあり、PBRの小ささだけで「株価が割安」と判断するのは早計だ。また金融危機などが起きた場合などは、株価がこうした指標を無視して異常な水準になる可能性もある。

それでも、日経平均株価を1つの会社に見立てると、実はアベノミクス相場(2012年12月以降)において日経平均株価がPBR1倍を割れたのは、2016年2月と2018年12月の2回のみだ。いずれも海外情勢の波乱と原油の急落が重なった。足元のPBRは1.03倍まで低下している。この指標からみると、日本株は大きく売り込みにくい水準ともいえよう。

 年月   株価純資産倍率  主な背景
1 2016年02月 0.99倍 中国ショックと原油急落
2 2018年12月 0.99倍 米景気減速懸念と原油急落
3 2019年06月 1.03倍 米中貿易戦争激化とメキシコ関税導入
(※2019年は6月4日時点のデータ)

一方、信託銀行は年金マネーの動向を反映するといわれる。最大規模の年金基金として、年金積立金管理運用独立機構(GPIF)が挙げられる。その運用方針は長期的な観点から安全かつ効率的に行うため、各資産を組み合わせた資産構成割合を「基本ポートフォリオ」として定めている。2018年12月末時点、GPIFの総資産額は約150兆円にのぼる。そのうち日本株は「基本ポートフォリオ25%」に対し、23%台まで低下している。つまり、信託銀行を通じて、買える余地が残っているということだ。

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