西村京太郎が告白「最近の列車は殺しにくいね」 必ず山村紅葉が出演する理由も今明かされる

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――書いてない?

彦根城での殺人事件の話は書いたんです。場所が変わってしまった。彦根城が遠いので、ロケにお金がかかるから、というわけ。でもあんまりうるさく言うと、台本を送ってこなくなっちゃうからね。

――そういうものですか……。

ぼくが原作だと書かれた「オリエント急行殺人事件」というドラマがあるんです。でもやっぱり書いたことないんだよね。聞いてみると、「みなさんの慰労のため、イタリアへロケに行ってきます」ということらしい。元の小説と違う場所でも、それをオリエント急行にしてしまえばいいわけだから。

調べたところ、テレビドラマの「オリエント急行殺人事件」は2003年に放送。その原作は、西村先生の「愛と悲しみの墓標」という作品だった。会津と日光が舞台だった作品が、突然ローマが舞台になった。
先出の「小田原城殺人事件」の放送は2014年。ローマロケの2003年はまだテレビ制作でお金が使える時代だったが、2014年は消費税増税の年である。景気の波が、そのままドラマ作品に影響しているのも面白い。

――ところで、先生の最高年収は7億円だと聞いたことがあります。

その年、新聞の長者番付で1位だった。ところが翌年、編集者が「大変です!」と言ってきたんだよね。「渡辺淳一さんの『失楽園』が売れてる」って言うんですよ。このままだと2位になってしまうので、納税額を増やしましょうと提案された。控除を減らして、言われるまま税金を多く払ったんですよ。

するとまたしばらくして「今年も危ないです!」と言われてね。「宮部みゆきさんの『模倣犯』が当たりました」と言うので、同様に税金をたくさん払った。「西村先生を1位にしたくて」と言うんだよね(笑)。

――すごい話ですね……。お金はどういったことに使われているのですか?

いちばん高かったのは京都の土地。持ち物では1800万円のスイスの時計が最高額かな。手巻きなので、調節が難しいんだよね。止まってるのでリューズを引っ張ったら壊れてしまった。修理するのにスイスに送る必要があって、それを4回くらいやった。

そしたら奥さんが「時計だけスイスに4回も行って、私は1度も行ったことがない!」と怒ってしまって。時計は隠されて、今どこにあるかわからないんだよね。

――お金を使うのも、なかなか大変ですね。

時計はクォーツがいちばんですよ。

新幹線グリーン席のいすを多数購入

――そういえば記念館2階の視聴覚ルーム、いすを鉄道車両の座席にすれば、もっと雰囲気が出ると思いました。

サービスロボット「enon」(エノン)。自走式ロボだが、現在は固定された状態(撮影:坪内政美)

実はここを造ったときに、新幹線のグリーン車の座席を十何脚か買ったんですよ。1つ2万円。持ってきて設置しようと思ったら、リクライニングさせるには床に穴を開けて固定しないとならない。もう建物は完成していたから、仕方なく返品した。運送料などで40万円かかりましたよ。

――2階展示ルームの案内役のロボットにも興味があります。話をして自己紹介したり、クイズを出してくれたりするんですね。

あれは富士通のロボットで900万円。全部で10体しか作ってないらしい。富士通が製作をやめてしまったんだよね。

西村先生はロボットもお好きだそう。私もロボットの4コマ漫画を毎週連載しているので、ロボットやAIの話にもひとしきり花が咲く。先生の記念すべき600作目の『北のロマン 青い森鉄道線』はAIを搭載した人型ロボットが出てくる話だ。88歳という年齢をまったく感じさせない作品で、時代をつかんだ内容であった。
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