独断で選ぶ、国鉄・JR「史上最強の機関車」五人衆 真価発揮できず「役不足」に甘んじた機関車も

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途中からは、この機関車を半分にしたようなDE10という機関車も開発されて地方線区に広く普及し、四国を含め全国制覇を達成している。しかし、“王者”は、やっぱりDD51が名乗ることになるだろう。そしてDE10は、DD51のよきパートナーだったといえる。

この機関車が急速に数を増していた1970年代、蒸気機関車ファンにとっては、まさに“仇敵”以外の何ものでもなかった。なにしろ次から次へと、愛しい蒸気機関車を引退させてしまうのだから。

それから40年を経た今もなお、JR東日本に4両とJR西日本に8両が事業用および予備として在籍している。しかし毎日定期的に働いているのは、JR貨物の名古屋地区だけとなった。それもあとわずかの期間が残されているだけ。そうなるとかつての仇敵も、ファンには、名優に変じてしまうわけである。

非電化区間貨物輸送の覇者「DF200」

定格出力1920キロワットは、DD51のエンジン2基の出力合計約1620キロワット(2200馬力)を上回っていて、国鉄/JR系で最大の出力を誇る、ディーゼル機関車のチャンピオンである。

DF200。現在では北海道内の貨物列車はすべてこの機関車が引くようになった。根室本線平野川信号場( 2007年8月23日、筆者撮影)

初登場から30年を経たDD51を置き替えるとともに、北海道千歳線における列車速度高速化への対応を目的として開発された。DD51が液体式変速機による動力伝達方式だったのを、ディーゼルエンジンに接続された発電機で生み出された電力によって電気モーターを駆動する、電気式がDF50から30年以上ぶりに採用されたのも新しいところ。制御を最新のインバータ方式とすることで効率の向上をはかり、また、電気機関車と共通の部分を増やして製作や保守のコストを低減している。

1992年に試作、1994年から量産が始まり、2011年までの間に試作車含めて50両が製造された。これによって北海道で使われていたJR貨物のDD51をすべて置き換え、北国の覇者となった。

2016年からはDD51最後の牙城となっていた名古屋地区にもこの機関車が登場している。残念ながら新造ではなく、石油輸送がなくなって余った北海道のDF200を転勤させるもので、都会地で使うことになるため、防音対策などを施して番号を変更したものである。現在までに5両が改造を終えていて、この3月のダイヤ改正からは、セメント輸送列車はすべてこの機関車が引くことになった。

この機関車で“へぇー”が2つある。1つはJR九州の豪華列車“ななつ星 in 九州”は、この機関車そのものであるということ。装飾やカラーリングによって印象は変っているが。

もう1つは、JR東海が東海道新幹線で使っているロングレール輸送用機関作業車。初代のLR9101+LR9102も現在のLR9201+LR9202も、出力や速度などの性能は違うものの、DF200のシステムをベースにしている。これら姉妹車両を含めて、日本の大型ディーゼル機関車“覇者”であり続けるのは間違いないところである。

前里 孝 シリーズ書籍「レイル」編集主幹

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まえさと たかし / Takashi Maesato

1953年、大阪生まれ。幼いころに三線式Oゲージ鉄道模型を買い与えられて以来、現在までずっと鉄道の趣味にのめりこんでいる。のみならず鉄道に関連する地理、歴史、建築、土木、経済などの分野にも関心が拡がる。仕事面では、長年にわたり株式会社エリエイで鉄道趣味出版物の編集および販売業務に携わってきた。現在は同社顧問。シリーズ書籍「レイル」編集主幹。

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