コニカミノルタHDは今秋予定の液晶用フィルム新工場稼働を無期延期、今期業績も下方修正が濃厚に
コニカミノルタホールディングスは、今秋を予定していた液晶テレビ用TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)の第7工場(神戸市)の稼働を延期する。液晶テレビの販売の落ち込みを受け、部材であるTACフィルムの受注も昨秋以降大きく減速しており、新工場の稼働計画を修正する必要が生じたため。新たな稼働時期は現時点では未定だ。
ここ数年、薄型液晶テレビの販売台数は年率20~30%で急拡大しており、偏光子の保護に使われるTACフィルムの需給も逼迫していた。このため、コニカミノルタでも新工場の建設を矢継ぎ早に進めていた。
07年11月に140億円を投じて第5工場(神戸市)を稼働させた後、昨年6月にも第6工場(神戸市)を建設。さらに、今回稼働延期を発表した第7工場を今秋竣工する予定だった。第5、第6、第7工場とも、フィルムの生産能力は、それぞれ5000万平方メートルで、第7工場が稼働すれば、全社の生産能力は約2割増の2億7000万平方メートルとなる予定だった。
だが、昨秋以降の市場の急激な収縮により、既存工場の稼働率も落ちており、当面はさらなる生産能力増強の必要はない、と判断したもようだ。稼働時期については、「現在は未定。今後の需要状況を見極めて判断していく」(広報・ブランド推進部)と説明している。
コニカミノルタにとって、同製品は主力の事務機器に次ぐ第2の柱となる事業だ。フィルムを薄く均一に伸ばす写真フィルムの高度な成形技術が必要とされるため、傘下子会社コニカミノルタオプトと富士フイルムの2社で世界市場を独占しており、高い利益率を誇っている。それだけに、同事業の失速がコニカミノルタの業績に与えるインパクトも小さくない。
さらに、為替も会社の下期想定レートの1ドル95円、1ユーロ120円よりも円高に推移しており、こちらの業績に与える影響も無視できないだろう。精密各社について言えることだが、29日に発表される08年4~12月期(第3四半期)決算で通期業績の下方修正が濃厚になっている。
現時点では、下方修正後の業績予想を正確に予測する材料はない。だが、下方修正する可能性が高いことを考慮し、「東洋経済オンライン」は暫定的に予想数値を引き下げ、09年3月期売上高1兆円(前期比6.7%減)、営業利益650億円(同46%減)、経常利益610億円(同42%減)、純利益335億円(同52%減)とする。第3四半期決算の発表後、再度予想数値を精査する。
(桑原 幸作)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.03 1,071,568 119,606 104,227 68,829
連本2009.03予 1,000,000 65,000 61,000 33,500
連本2010.03予 920,000 30,000 26,000 16,000
連中2008.09 532,971 48,670 47,877 29,279
連中2009.09予 450,000 10,000 9,000 5,400
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.03 129.7 15
連本2009.03予 63.2 15-20
連本2010.03予 30.2 8-15
連中2008.09 55.2 10
連中2009.09予 10.2 4-7.5
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