完全「国産」主義 嶌村彰禧著
食の不祥事が後を絶たない中、「国産原料だけで食品産業が成り立つ」というコピーと書名に引かれて手にしてみた。著者は34年に及ぶ苦闘体験を持つ北海道ワインの社長。気軽に読めてワイン産業の表と裏の知識も得られ、ワインを楽しむうえでも参考になる。
それにしても国産ワインの実態はすさまじい。4分の3は輸入原料によるが、多くがジャム状の濃縮ブドウ果汁に水を加えアルコール醸造して造られる。1本数百円などというのは大半がこの手らしい。
ワイン県として知られるところが、必ずしもその地のぶどうを使っているとは限らない。
とはいえ暴露書の類いではなく、国産ワインのみならず食品産業全体として消費者の信頼を取り戻すための真摯な提言が多々なされている。赤ワインブームで危機に直面した際の社運を賭しての決断など、国産主義への志と北海道への思いに溢れた、食の最前線からの貴重な報告である。(純)
東洋経済新報社 1575円
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