JR東日本、座れないならグリーン料金不要? 普通「グリーン車」払い戻し規則はややこしい

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さらに「よくいただく質問」をクリックし、「乗車前にグリーン券を買ったが、グリーン車が満席だった」の質問項目の回答を見ると、以下のように記述している。

満席のためグリーン車をご利用にならず普通車へ移動される場合は、車内改札前に乗務員(グリーンアテンダント)にお申し付けください。ご利用にならなかった確認をおこなったうえで払いもどしのご案内をさせていただきます。なお、グリーン車の通路やデッキ等にお立ちの場合もグリーン料金が必要になりますのでご注意ください。
※ 車内では払いもどしできません。
※ 払いもどしは、Suicaがご利用可能な首都圏エリアのJR東日本のみどりの窓口で承ります。 
(みどりの窓口営業時間外は改札係員におたずねください。)

これを読んではじめて、座れない場合は払い戻しがあることがわかる。ただし、ホームページの別の場所(Suicaのページの「ご利用に際してのご注意」)で、払い戻しには手数料が220円かかるとある。満席で座れず、乗務員に申し出て普通車に移ることを申し出ると払い戻しがあることがわかるが、220円の手数料を取られるのか取られないのか?

Suicaグリーン券にはモバイルSuicaもあるが、モバイルSuicaのページの「モバイルSuicaを使う」をクリックし、さらに「Suicaグリーン券」をクリックし、さらに「払いもどし」をクリックすると、以下の説明にたどり着く。

Suicaグリーン券を購入したものの、グリーン車が満席で利用できずに普通車に乗車する場合などは、乗務しているグリーン車の乗務員(グリーンアテンダント)にお申し出ください。確認の上、Suicaグリーン券の払いもどし手数料を無料にするための「不使用証」を発行します。

説明はとても不親切

乗務員に満席で座れないから普通車に移ると申し出て「不使用証」を受け取れば、手数料無料で払い戻しができることがようやくここでわかる。ただ、きっぷのグリーン券についての扱いが書いていない(実際には同様の扱い)。不親切というか、手数料なしで払い戻しができることを消費者に知らせたくない、知っていても払い戻してほしくないという意図を持っているという印象を持つ記述だ。

また、払い戻しは当日にみどりの窓口に行く必要がある。実際、ネットを検索するとグリーン券の払い戻しについて説明しているサイト(JR東日本の作成ではない個人のブログ等)を複数みかけるが、手数料が220円かかると書かれているものもある。勘違いが多いということだろう。

むろん、乗務員が説明してくれれば問題はないが、満席で立っている乗客が尋ねない限り説明はないようだ。ときたま満席の乗客に乗務員が検札する状況に出くわしても、説明しているのを見たことがない。そもそも払い戻しがあることがわかりづらいのだから、気づいていない乗客も多いだろう。

自由席ゆえの便利さもあるが、確実に座りたいという需要に応えるためには座席指定がふさわしいと思う。しかし、JRの普通列車グリーン席は普通列車にグリーン車両を連結しているもので、本数も多い。また、消費者に対する列車識別情報も行先と時刻以外にない(特急やライナーなどは名称がある)ことからそれも難しいのかもしれない。しかし、事前購入を推奨し、払い戻しも不便というのは顧客対応としていただけない。まずは払い戻し情報をしっかり提供し、乗務員が処理できるようにするとか、駅のホームで次に来る電車のグリーン車の混雑状況を知らせるシステムの導入などを検討してほしい。グリーン車回数券もあると便利だろう。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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