アメリカの毒を食らう人たち ロレッタ・シュワルツ=ノーベル著/東出顕子訳
アメリカの環境汚染と健康被害についての告発の書である。子供と母性を中心に被害実態を丹念に追跡し、産官学、政界の利益追求体質を厳しく糾弾している。書名からは食の汚染本かと思うが、大気汚染、タバコ、マンモグラフィ、予防接種の弊害にも詳細に言及していて、原題のPoisoned Nationのほうがイメージは近い。
アメリカ人がツナ缶詰を大量に食べるために食物連鎖による水銀被害を受けやすい話など、特定の食品、化学品に偏ることのリスクも浮き彫りにされる。
被害者の声をここまで集めたのは強い使命感からだろう。病気と「毒」の因果関係がすべて著者の言うとおりなのか、危機感をどのレベルまで共有できるか、見方は人によりさまざまだろうが、その警告には傾聴すべき点が多く、徹底検証が待たれる。アメリカの政界や宗教界の一部に強い問題意識をもって臨む動きが確実に見られるという指摘にはわずかに救われた。(純)
東洋経済新報社 1995円
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