鉄道自殺「うつ病」と並んで多い原因は何か

仕事の問題と悩みが勤め人を自殺に追い込む

比較のため、鉄道自殺に限らない被雇用者の自殺原因(全国、2016年)を見ておくと、1位はうつ病(1149人)、2位は仕事疲れ(514人)で、職場の人間関係(407人)は4位。夫婦関係の不和(422人)が3位、多重債務(301人)が6位に入るなど一都三県の状況と異なる点もあるが、勤務問題が上位という傾向は一都三県の鉄道自殺と同じだ。

勤務問題が自殺原因の上位を占める状況からは、労働環境の劣悪さなどの問題があることがうかがえる。

過酷な労働環境は「虐待」では

「仕事疲れ」や「職場の人間関係」という分類がどのような実態を指すのかわからないが、これほど多数の被雇用者を自殺に追い込むほどこれらが過酷なものであるなら、「労働問題」や「勤務問題」という言い方は不適切であり、被雇用者に対する「虐待行為」と言うべきだろう。

虐待防止に関する身近な法律には、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法、動物愛護管理法がある。この4つの法律はいずれも、目的を定めた第1条で明確に「虐待」の言葉を使用する。

「児童虐待の防止等に関する施策を促進し」
「高齢者の尊厳の保持にとって(…)虐待を防止することが極めて重要」
「障害者に対する虐待を防止することが極めて重要」
「動物の虐待及び遺棄の防止」

しかし、被雇用者への虐待を定義し、防止する法律は存在していない。過労自殺やパワハラ自殺に代表される過酷で暴力的な労働実態を被雇用者に対する虐待として捉え、これを防止するための労働者虐待防止法が制定されれば、鉄道自殺を含め、勤務問題と原因とする自殺を大幅に減らすことができるのではないだろうか。

(追記)※この記事で使用した「被雇用者」とは、政府の自殺統計で「被雇用者・勤め人」とされる職業分類を指す。表現を簡素にするため記事中では「被雇用者」と表記した。

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