転進 瀬島龍三の「遺言」 新井喜美夫 著

転進 瀬島龍三の「遺言」 新井喜美夫 著

国会議事堂にほど近い東京ヒルトン(その後キャピトル東急ホテル、現在改築中)506号室と507号室。両室は部屋の中でつながったコネクティングルーム。1981年から86年まで、ともにそこを事務所にした土光臨調委員の瀬島龍三と同参与の著者が、部屋で何を語り合ったかは定かではない。「瀬島はメモ取りを許さなかった」から、なおさらだ。しかし、幾多のなぞを黙秘したまま1年前にこの世を去った瀬島との「500回を超える」対話から、論議を呼ぶ新たな事実がいくつも記述される。

「60万人の抑留者を全員すぐに帰すのは得策ではない……食糧も職も満足にない」。捕虜抑留の密約疑惑のあるシベリア抑留、あるいは開戦時の「対米覚書」の手交の遅れと親電の差し止め工作でのかかわり。「東条英機がミッドウェー海戦の無惨な戦況を知ったのはサイパン陥落の直前」というくだり……。定説の歴史的事実と瀬島の人物像に新たな照射を加える。

講談社 1680円

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