九州人が「乗りたい」「残したい」ローカル線 九州ならではの風景を満喫できる5線
JR肥薩線(八代―隼人)
1903年にさかのぼる歴史を誇る、熊本・鹿児島の山を走る鉄道。九州新幹線の開業後に鹿児島本線の中間部分が肥薩おれんじ鉄道線になって以来、西九州ではJRの主な在来線の南北ルートになった。
大きな都市を通らないこともあって、利用者が僅少。乗客・本数が特に少ない人吉―吉松間は、廃止対象区間になるとのうわさがあったが、JR九州が観光資源として使い、現在も整備などをしているので、すぐに廃線になることはないだろう。人気が高いSL人吉(1922年に製造した8620形蒸気機関車)に加えて、「いさぶろう・しんぺい」「はやとの風」という観光列車である程度の乗車数を確保しているのも心強い(SL人吉は人気が高すぎて、実際のところ予約を取るのが大変だ)。また、今年3月には特急「かわせみ やませみ」も登場している。
2つのスイッチバック駅も大人気で、特に大畑(おこば)駅の珍しい大型ループ線と、途中のスイッチバックの組み合わせで有名だ(日本では、これが見られるのはここだけである)。こうした理由から、肥薩線(矢岳駅付近)は日本3大車窓のひとつとして知られている。壮大な霧島連山を見られるのもうれしい。
車窓に広がる雄大すぎる景色
JR指宿枕崎線(鹿児島中央―枕崎)
1930年に開業した、鹿児島・薩摩半島を走る非電化単数の路線。日南線との共通点は3つあり、それは、南国風の絶景がたっぷり楽しめること、懐かしい白青キハ47形車両をよく使用されること、それから利用者の少ない区間が将来に廃止になる可能性があるということだ。
指宿枕崎線の中で最も有名なのが西大山駅、観光客に好評の観光列車「指宿のたまて箱」、そして沿線にある指宿という名湯地(砂風呂で有名)である。
西大山駅は全国JRの最南端駅。もともと日本最南端駅という表記が使われていたが、2003年の沖縄都市モノレール線(ゆいレール)の開通後、西大山が最南端駅ではなくなった。モノレールは電車ではないから関係ないという意見や、本土で最南端だという意見もある(ところで、日本最西端駅も九州・長崎県のたびら平戸口駅だったが、同じ沖縄のモノレールに取って代わられている)。
鉄道ファンには人気の鉄道で、西大山駅に訪れる人も多い。同駅のホームから見える、開聞岳の眺めもすばらしく、ツアーバスが寄ってくるほど人気のスポットとなっている。このほか、車窓からは雄大な桜島をさまざまな角度から眺められる。黒砂の海岸を快走しながら眺める火山の風景は、一生忘れない思い出になるに違いない。
九州では、上の5線以外にも多くの魅力的なローカル線がある。九州を訪れる際には、こうした路線を残すためではなく、九州ならではの魅力を存分に楽しむためにもこうしたローカル線を味わってみてほしい。
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