フリーゲージ、国の見方は「完成へあと一息」 コストは倍、試験再開時期は未定だが…
さらに、経済性についての課題も浮上した。摩耗する車軸などを定期的に交換することを想定すると、交換周期を走行距離60万kmとした場合は一般の新幹線の約3倍、240万kmとした場合でも2.5倍のコストがかかると試算されたためだ。
このため、耐久走行試験を再開する前提として、2016年12月から今年3月までの間、車両を走らせて車軸の摩耗対策などの有効性を確認する「検証走行試験」を実施。国交省によると、約3.2万kmの走行を終えて3つの台車を分解調査したところ、2014年の耐久走行試験の際には最大約230マイクロメートル(マイクロメートル=1mmの1000分の1)だった摩耗が、今回は最大でも2.5マイクロメートルに抑えられたことが確認された。
再利用と改良でコストダウン
これらの測定値から、車軸を交換せず走行できる距離を予測したところ、一部を除き60万km以上との推定結果が出た。さらに、車軸の交換に合わせて廃棄する前提だった、FGT特有の部品である「車輪スリーブ」と「歯車付外筒」の再利用を検討したところ、以前は一般の新幹線に比べて約3.1倍と試算されていたトータルコストは約2.3倍まで減少。さらに、これらの部品を15年間交換不要と仮定すれば、コストは約1.9倍に抑えられる見通しとなった。車軸の交換も不要なら約1.7倍となる見込みだ。
国交省鉄道局技術開発室の権藤宗高室長は「もう一息のところまできた。あと一工夫、確認が取れれば実用化にかなり近づく」。JR九州も、FGTの事業性については「収支採算性を算定した上で見解をまとめたい」とした上で、今回の報告そのものについては「(FGT特有の)高価な部品の再利用ができるかできないかはコスト削減の大きな課題で、そこについては一定の効果があったのではと受け止めている」(牛島康博新幹線計画部長)と話す。
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