バンダイ「Bトレ」が山手線にこだわる狙い 新型E235系まで歴代車両をズラリ発売!
リアルさとともに手軽さが売りのBトレだが、最近は価格の上昇という課題を抱えている。主な要因は生産拠点のある中国の人件費上昇だ。価格面での買いやすさがユーザーから見たBトレの魅力の一つであるのは事実だ。そこで、最近は価格の上昇を抑えるための工夫をさまざまな面で行っているという。
例えば、台車などのパーツをプラスチックの成形色として塗装の工程を省いたり、これまでは色を塗って表現していた車体側面の行き先表示部分の塗装を省略したりといった手法だ。台車などは、本格的な鉄道模型でも成形色のままのことも多い。E235系もグラデーション塗装などの「見せ場」は塗装とし、台車の枠はプラスチックの成形色とした。
また、行き先表示に関しては代わりにさまざまな行き先のステッカーを同封することで「ユーザーが選ぶ楽しみ」を提供しているという。「コストダウンを図りつつ、バリューを上げられないか」(近藤さん)との考えだ。
このほか、新たな試みとしては、窓ガラス部分に透明な部品を使わず、塗装で表現することによって造りやすさを重視した製品も発売した。2015年の9月に発売した北陸新幹線のE7系だ。従来の本格的な構造を求めるコアなファンからは「正直なところ、マイナス意見も頂いた」と近藤さんはいうものの、透明部品をなくしたことで組み立ては容易になり、新たなファン層の開拓にはつながったという。
Bトレの世界を守るため
これからのキーワードの一つは「Yamanote History」と同様、やはり「テーマ性」だ。今夏以降の新たな展開として、大手私鉄グループとタイアップした私鉄観光特急の製品を発売する。
パッケージの背面にそれぞれの路線の観光案内を掲載するとともに、旅行代理店のパンフレットにはBトレの紹介を掲載。これまでBトレを知らなかった層にもアピールする。「旅行に行った方には思い出として作ってもらい、Bトレを買った方には旅行に行ってもらいたい」との狙いだ。
新たなファン層の拡大とともに、コアなファンに向けた展開も同時に進める。7月1日にはバンダイの通販サイト「プレミアムバンダイ」内にBトレのオンラインショップを開設。「バリエーション違いの商品などを展開していきたい」(狩野さん)という。コアなファンは全国に薄く広く存在するため、「地域性の高い製品やマニアックなバリエーションなどはEコマースでの展開が最適」との考えからだ。
すでに鉄道ホビーの世界で一定の地位を築き、ファンに支えられているBトレ。だが、今後もその世界を拡げていくためには、これまでのファン層を満足させると同時に新たなファンの開拓が必要だ。「(ここまで広がってきた)Bトレの世界を守っていかなくてはいけない」と狩野さんは語る。来年でシリーズのスタートから15年。今後も鉄道ホビーの一ジャンルとして継続するための試みは続く。
(撮影:風間仁一郎)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら