贅沢の条件 山田登世子著
何をもって「贅沢」とするか。本書を読めば、現代人の散財による消費など、何ほどのものかと考えさせられる。
たとえば、権勢にかかわる政治性から、ケタ違いに豪華絢爛な祝宴を繰り返したヨーロッパの宮廷貴族たちは、いわば「公務」で贅沢をしていたという。その逆をゆくかのような森茉莉などは「贅沢貧乏」。ほんとうに贅沢な人間は、贅沢を意識しない人たちだと考え、好きなことしかせず、貧乏をもいとわない。
両者は「精神の貴族」という意味において、まったく同義である。中世修道院文化から、ココ・シャネル、白洲正子まで、フランス文学者が、不況のいまだからこそ、「富」ではない真の贅沢とは何かを問いかける。
岩波新書 735円
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