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「日本版排出量取引制度」が2026年度に本格スタート/CO₂削減効果や産業競争力への影響は?/京都大・諸富教授に聞く

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もろとみ・とおる/京都大学大学院経済学研究科教授。1968年生まれ。98年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、横浜国立大学経済学部助教授。2002年京都大学大学院経済学研究科助教授、06年同公共政策大学院助教授、08年同大学院経済学研究科准教授を経て10年から現職。主著に『環境税の理論と実際』『資本主義の新しい形』『グローバル・タックス-国境を超える課税権力』など(写真:諸富氏提供)

ただしこれは移行措置であると考えられる。第2フェーズ開始後の26~28年の3年間は燃料種類別にベンチマークが設定される。しかし、その後は全火力平均の比率を段階的に増やしていくので、33年度には燃料種別ベンチマークの比率はゼロとなる予定だ。

33年度からは、オークション(排出枠の有償配分)が段階的に導入され、全電力平均による排出枠配分への移行が始まる。完全にオークション方式に移行した段階では、燃料の種類に関係なく、原子力発電も火力発電も含めて、全電源がフラットに競争することになる。

原発や再生可能エネルギーは排出量がゼロなので排出枠を購入する必要がない一方、火力発電(とくに石炭火力の)比率が高い電力会社ほど多くの排出枠を購入せざるをえず、状況は厳しくなるだろう。

ベンチマーク設定全体の考え方としても、当初は個々の産業事情への配慮が効いた形でもそれは未来永劫続くものではない。徐々に技術特性や業界特性は考慮されなくなり、31年度以降は、「配慮措置」や「経過措置」が適用されなくなるなど、競争上の公平性が重視されるようになる。産業への配慮と環境政策上の目的のバランスを取りつつ、段階的に制度改善を図っていくやり方は評価できる。

上下限価格およびその水準の意味

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