ロシアとウクライナの継戦能力を冷静に分析する/経済面では借金頼みのウクライナが圧倒的劣勢も、政治的な継戦能力は両国とも低下が著しい

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ロシアとウクライナの継戦能力を比較すると、経済的な意味ではロシアのほうがはるかに高いわけだが、政治的な意味では、両国とも低下が著しい。

そうした状況下で、両国とも相手方の政治・社会不安に期待する状況が強まっている。要するに、双方の政権が、双方の政権の内部からの崩壊を願っている。つまり戦争は“受け身”となっている。

戦局を動かすのはどちらかの政治・社会情勢の変化

年末に入り、停戦協議に関する情報が交錯している。ただし、ヨーロッパとアメリカの相互不信もあり、協議がうまくいくかは定かではない。

そもそもロシア・ウクライナ両国が“受け身”となる以上、戦局は大きく動きようがないし、停戦に向かった動きが加速することもない。逆を言えば、戦局が大きく動くときは、どちらかの側で政治・社会情勢が大きく変化したときなのだろう。

相手がそうなることを望みつつも、自分がそうなることは回避したい——。そうした思惑が交錯しつつ、2026年のロシア=ウクライナ戦争は、奇妙な膠着が続くと予想される。

土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員

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つちだ ようすけ / Yosuke Tsuchida

2005年一橋大経卒、06年同修士課程修了。13年同博士課程単位取得退学。株式会社浜銀総合研究所を経て現職。 欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行う。主要経済誌への寄稿、学会誌への査読付き論文多数。著書は『基軸通貨‐ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)『ドル化とは何か‐日本で米ドルが使われる日』(ちくま新書)『脱炭素・脱ロシア時代のEV戦略 EU・中欧・ロシアの現場から』(分担執筆、文眞堂)。 関東学院大学経済学部非常勤講師。

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