古来より、戦争を継続するうえでの最大のボトルネックは財源にある。つまり戦費だが、その調達こそが継戦能力の大部分を規定する。この間、ロシアは戦費を所得から捻出できているが、ウクライナは借入で賄っているという大きな違いがある。
ただし両国とも、戦争の予期せぬ長期化を受けて資金調達に窮するようになっている事実がある。
まず両国の貿易収支を確認してみよう。

ロシアは一貫して黒字、ウクライナは赤字だ。G7(主要7カ国)から制裁を科されたことや、原油市況の低迷を受けて、ロシアの貿易黒字は縮小トレンドにあるが、それでも黒字は確保できている。
ウクライナは借金頼みで戦争を続ける
対して、ウクライナの貿易赤字は、軍需品の輸入が増加したことなどから、赤字の拡大が続いている。
つまり、ロシアは問題がありつつも外国から所得を稼ぐことができており、その一部を戦費に当てている。一方のウクライナは、外国から所得を稼ぐことができていないからこそ、借入を増やし戦費を賄っている状況だ。その結果、開戦前は名目GDPの60%強だったウクライナの対外債務は、2025年4〜6月期までに100%を超えるに至る。

米欧日は、ヒト・モノ・カネのあらゆる面でウクライナを支援する。とはいえ支援疲れも顕著であり、このスキームは持続可能とは言えない。対外債務の急増に見て取れるように、カネも基本的には債務、つまり借金である。ウクライナはいつか返済するカネを基に、戦争を継続している。この点が、相まみえるロシアとの最大の違いと言えよう。




















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