クマの出没ルートをAI活用で特定!「猟友会頼み」な"従来型パトロール"の限界をどう超えるか
まずは電源の確保です。AIのシステムはそれなりに電力を使います。ソーラー+バッテリーもありますが、永遠に安定するものではない。試験導入には使えても、本格運用で安定性を求めると電源をどう確保するかが、避けて通れない大きな壁になります。
次に通信環境の確保です。クマの出没しやすい場所は、往々にして電波が届きにくいエリアです。微弱な電波環境でもアラートを確実に届けるため、様々な通信方式を組み合わせる設計が求められます。
最後は誤検知についてです。夜間や霧の中では、イノシシやカモシカ、大型犬などをクマと間違えて誤報を出してしまう可能性もあります。人なら「二足歩行のこういう形は全部人だよ、それ以外は検知しないでね」という教え方ができる。一方で、熊のような頻繁に出てこない特殊例は、実例を積み上げながらパターンを覚えさせていく必要があります。だからこそ、早い段階から導入して、学習に使えるデータをためていくことが大事だと思います。
AIカメラの真価は、単に「クマを見つける」という受動的な検知にとどまりません。蓄積されたデータを分析し、能動的な「予測」に活用できる点こそ、私たちが目指す次のステップです。
AIカメラが収集したデータ(いつ、どこで、どの方向にクマが移動したか)を地図上にマッピングし、分析する。このデータが豊富になることで、従来の「勘と経験」に頼ってきた対策を、データに基づく対策へと進化させることができます。
予測が生む未来
データの予測分析によって、まず出没ルートの特定が可能になります。
素人から見れば、全部同じクマに見えてもプロの目にかかれば、“この個体はA地点にもB地点にも出ている”といった見立てができます。その感覚とAIが蓄積したデータを組み合わせることで、ようやく生きた予測になります。むやみに人が動き回るより、カメラに見てもらい、経験のある人のところにデータとアラートを集約する方が、はるかに効率的です。
例えば、木の伐採作業には伐採した木を職人さんがA・B・Cとランク分けしていく作業があるのですが、職人さんの目利き技術をAIに覚えさせて、カメラが自動でランク分けできるようにすることも可能です。
クマ対策も、基本は同じ発想です。高齢化して継承が難しい、猟友会の方が持っている勘と経験をそのまま消してしまうのではなく、データとして残していくことが大事だと思います。
AIカメラはあくまでツールですが、これらをうまく使いこなし、現場の負担を減らしながら、地域の安全を守る「インフラ」として普及させていくことが重要だと考えています。人命と地域の安全を守るために、デジタルの力を最大限に活用し続けます。
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