クマの出没ルートをAI活用で特定!「猟友会頼み」な"従来型パトロール"の限界をどう超えるか

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このような行動変容が起きている中で、これまで中心となってきた自治体や猟友会による「従来型パトロール」(目視、巡回)は、対策として限界を迎えています。

最大の課題は、人手不足と高齢化です。猟友会の方々の負担は限界に達し、後継者も不足しています。さらに、人間が24時間365日、山や集落の境界を監視し続けることは不可能で、パトロールする人間がクマと鉢合わせし、襲われる危険性も高まります。

猟友会
これまで中心となってきた自治体や猟友会による「従来型パトロール」(写真:neru_e_hon / PIXTA)

人間が直接危険に晒される前に、まずは「機械(AI)で検知し、安全に情報を伝達する」仕組みを確立する必要があります。

私たちが開発・提供するAIカメラシステムは、この課題に対し、単なる監視ではなく、「即応力」と「予測力」という2つの新しい軸で、人命と生活を守るための防御策の確立を目指しています。

屋外での監視・検知という点では、私たちが普段AIカメラを提供している建設現場もクマ対策も本質的な構造は似ています。違いは、クマが「生き物」であり、人間が全てをコントロールできない存在であるという点です。しかし、私たちが屋外環境で蓄積してきたAIカメラの技術・ノウハウは、そのままクマ対策にも応用できます。

実証済みの先端事例に学ぶAIカメラの即応力と予測力

AIカメラシステムが従来のパトロールと一線を画す点は、その「即応力」と、そこから生まれる「予測力」にあります。

まず、カメラが捉えたクマの危険な位置情報をカメラの位置によってリアルタイムで住民に提供するため、不用意な接近による人身事故を未然に防ぐことができます。

次に、クマが検知された際には、これまでの「目撃情報」といった曖昧な報告ではなく、画像と正確な位置情報という確実なデータが即座に共有されるので、自治体や猟友会などの関係者の初動の迅速化につながります。

さらに、検知システムと外部の威嚇装置を接点を使用し連携させることで、安全性を高めることができます。カメラの検知と同時に、回転灯やサイレンによる威嚇だけでなく、忌避剤スプレーなどの装置を自動で作動させることも接点を使用することで可能になります。

クマを効果的に人里から遠ざけ、システムを単なる監視ツール以上の「防御・威嚇システム」へと進化させることができます。

しかし山間部での運用には、特有の技術的な壁が立ちはだかります。

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