本連載では過去の記事でも、AIによって数年以内に多くのホワイトカラーが職を失うとの予測を紹介してきた。この動きは、個別企業の経営幹部とのミーティングによって裏付けられたものだったが、同様の動きがアメリカ労働統計局(BLS)の最新データによって明確に証明され始めているのだ。
注目したいのは、史上初めて、アメリカの失業者に占める大卒者の割合が25%に達したことである。これはBLSがデータ収集を開始した1992年以来最高の水準だ。25年9月の大卒者の失業者は190万人を超え、AIの進化に伴い、今後も大卒者の失業率はさらに上昇すると予測される。
一方で、医療ケアやホスピタリティ、熟練を要するブルーカラー労働など、AIによる自動化がまだ浸透していない分野の雇用は好調だ。今年、アメリカで新たに創出された雇用69万件のすべてが医療、レジャー、ホスピタリティの3業種に集中しており、これらの職種がなければアメリカ経済はもっと大規模な雇用減を記録していた計算になる。
さらに深刻なのが若年層の雇用状況である。20〜24歳の若者の失業率は9.2%に達し、前年から2.2ポイント上昇した。過去の歴史を見ても、このような急激な失業率上昇は通常、景気後退時にしか見られない。AIが初歩的な業務ほど容易に代替可能であるため、新卒若者のエントリーレベル業務は特に脆弱だ。
カリフォルニア州が示すAI時代の未来図
AI革命による雇用市場の二極化を先取りした未来がカリフォルニア州にある。
同州の経済規模は日本を抜き、世界第4位に浮上した。日本が長年AIやテクノロジー投資に消極的だったことを考えれば、この結果は驚くべきことではない。例えば、カリフォルニアではウェイモの自動運転タクシーがサンフランシスコやロサンゼルスの街中を埋め尽くし、ジョビー社の空飛ぶ電動旅客ドローン(eVTOL)がモントレー周辺で実用化に向けて試験飛行を続けている。
しかし、こうしたAI活況の一方で、カリフォルニア州の失業率は全米で最も高く5.5%に達し、全米平均(4.4%)を大きく上回っている。
セントルイス連邦準備銀行によれば、アメリカの失業者690万人のうち約100万人がカリフォルニア州に在住している。サンフランシスコ中心部のオフィス空室率はまだ35%に及ぶが、その一方で住宅市場は激しい入札合戦が続き、不動産価格が急騰している。この現象はAI時代に高度な技能を持つ人材に巨額の富が集中し始めていることを端的に表している。
カリフォルニアの分断された雇用市場は、日本にとっても他人事ではない。高度なAIスキルを習得できなければ、雇用の未来は厳しい。現在、日本は人手不足だが、若者たちが危機感を持たないことは極めて危険だ。AI革命は必ず日本にも及ぶからだ。




















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