パスワード付箋でペタッ、サイバー攻撃が急増する傍ら「脆弱だな!」のツッコミでセキュリティ界に新風《ゲームプログラマーが芸人になった》訳

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一般向けの鉄板ネタとして挙げてくれたのが、冒頭で紹介した「パソコンに付箋が貼ってあるけど強度がえぐい」というもの。管理のずさんさとパスワードの頑丈さのアンバランスさを突いた、アスースンさんの挨拶代わりとも言えるネタだ。

一方、技術者向けには、より専門的な知識を要するネタがウケやすい。「リモート会議の時、背景に映っているホワイトボードにSSHの公開鍵がびっしり書かれている」というネタはSSHを触ったことがある層から「あれは面白かった」と、とくに反響が大きかったという。

アスースン・オンラインさんのネタ
リモート会議で背景に映っているホワイトボードに何が書かれているのか……よく見てみるとSSHの公開鍵がびっしり書かれているという技術者の心をつかむネタ(写真:アスースン・オンラインさん提供)

さらにマニアックなのが「アイドル」という大喜利ネタ。「こんなアイドルは嫌だ、どんなアイドル?」というお題に対し、「SHA256(ハッシュ関数の一種)のアイドル」が登場。メンバー名がハッシュ値になっており、「ガチオタが逆算しようと頑張ってる」というオチがつく。

このネタをSNSに投稿したところ、後日、本当にスライドに使われていたハッシュ値を逆算した猛者が現れ、ネタの元となったアスースンさんの「推し」のアイドル名(佐々木美玲さん)が特定されてしまったという、笑えるエピソードも生まれた。

アスースン・オンラインさんのネタ
アイドルの名前が「SHA256」というハッシュ値になっている(写真:アスースン・オンラインさん提供提供)

こうしたネタの着想は、本業の仕事、CTFチームでの活動、セキュリティキャンプの講師業、そして毎月参加する多くの技術系イベントでの学びから得られているという。

増加する脅威、企業が今すぐできる脆弱性対策とは

アスースンさんがセキュリティ芸人として活動するうえで、単なる笑いの追求だけでなく、「啓発」という側面も意識しているという。技術的な防御策がいかに強固であっても、それを扱う人のリテラシーが伴わなければ意味がないと強く感じているのだ。

「情報漏洩のインシデントのうち8割は人の不注意が原因だというデータを見て、技術的にいくら安全に作ったとしても、扱う人のセキュリティリテラシーがないと元も子もないなと感じました。そこで、一般の人のセキュリティリテラシーを向上させたいと思い、セキュリティ芸人を生み出しました」(アスースンさん)

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