パスワード付箋でペタッ、サイバー攻撃が急増する傍ら「脆弱だな!」のツッコミでセキュリティ界に新風《ゲームプログラマーが芸人になった》訳

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「自分は根本的に、何かを作って人を楽しませるのが好きなんです。例えば、ボーカロイドやバーチャルYouTuberのような新たな概念を作りたかったんです。今では、ボーカロイドは有名で、世界中の音楽クリエイターが曲を作ることができるという、革命だったと思います」(アスースンさん)

その野望の実現に向けた挑戦の1つが、ピン芸日本一を決める「R-1グランプリ」への出場だった。2023年1月、彼はかつてSecHack365で生み出したセキュリティ芸人のネタでステージに立った。結果は、本人も驚いた2回戦進出。会社に有給休暇を申請して臨んだこの挑戦は、思わぬ反響を呼ぶこととなった。

アスースンさんの活動を知るセキュリティキャンプ関係者をはじめ、業界内で大きなインパクトを与えたのだ。このおかげで、セキュリティ系のフォーラムやイベントから次々と声がかかるようになったそう。セキュリティ人材向けのネタを披露する機会が、ここから一気に広がっていった。

ちなみに「アスースン・オンライン(Asusn Online)」という一度聞いたら忘れない芸名は、後輩がTwitter(現X)の裏アカウントで彼の本名「麻生(あそう)」と敬称の「さん」を含めて「asusn」と伏字で呼んでいたことに由来する。

「伏せてないだろう」というツッコミどころ満載のこの呼称を本人が気に入り、ハンドルネームとして使い始めた。その後、ランニングアプリの登録で名字と名前の入力が必要になり、語感の良さで「オンライン」を付け加えたという。遊び心から生まれた名前が、今や彼の活動の象徴となっているのが面白い。

共感を呼ぶ「セキュリティあるある」の作り方

現在、アスースンさんの活動は多岐にわたる。技術系イベントでのネタ披露を主軸としながら、YouTubeチャンネル「脆弱エンジニアの日常」では、お笑いネタ動画だけでなく、基本情報技術者試験の早押しクイズやIT系ゲームの実況など、エンジニアリングとエンタメを融合させたコンテンツを発信し続けている。

アスースン・オンライン ネタ披露
セキュリティ系のフォーラムやイベントなどでネタを披露している。写真は直近で古巣の大学サークルに呼ばれた時のもの(写真:編集部撮影)

さらに、社会人お笑いライブやM-1グランプリ、キングオブコントといった賞レースにも挑戦し、純粋な「お笑い」のスキルアップにも余念がない。

「ネタは本当に身近な人を笑わせるつもりで作っています。技術者向けのネタであれば技術者の友だち、一般向けのネタであれば一般人の友だちを笑わせようとしています」(アスースンさん)

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