「非正規保育士1200人を雇い止め」「週5日働いても"月収11万円"」 そして《非正規公務員》が消えた…悪待遇が招いた「これ以上ない悲劇」
瀬山氏は低賃金の背景に、「非正規公務員は補助的業務を担うので、コア業務を任されている正職員とは賃金に差があって当然」という根深い考え方もあると指摘する。
しかし実際には、数年おきの異動を繰り返す正規職員より“ベテラン”の非正規職員のほうが業務に精通しているケースも多く、回答者の26%は「正規職員に仕事を教えている」、20%は「人材育成をしている」などと回答していた。
アンケートには「勤務16年目で、新規採用の職員に丁寧に仕事を教える日々だが、今年度末の公募で雇い止めに遭うのではないかと不安」(60代、女性関連施設職員)といった意見もあり、高いスキルを持ちながら雇用不安に悩まされ続ける現状がうかがえた。
有期から無期への転換で「倍率23倍」に
政府は25年6月、いわゆる「骨太方針」と「地方創生2.0基本構想」に、会計年任用職員の処遇改善や、任期の定めのない「常勤化」を進めることを盛り込んだ。こうした政府方針に人手不足も重なり、一部自治体では、雇用の安定化と待遇改善の動きも見られる。
愛知県大府市では、会計年度任用職員などの経験者を常勤職員として雇用する「ディスカバリー採用」を実施すると発表した。
また大阪府箕面市では、これまで採用枠が埋まらなかった任期付きのスクールソーシャルワーカーを、「常勤」に切り替えたところ、採用の競争率が23倍にはね上がったという。
「なくそう!官製ワーキングプア大阪集会」実行委員会の川西玲子氏は9月下旬、非正規公務員の待遇改善を訴える集会にオンラインで参加し、「箕面市の事例は、無期雇用が人材確保のカギになることを明確に示しています」と語った。
「会計年度任用職員は、公募しても採用が埋まらず制度は実質的に破たんしているとさえ言えます。今後は常勤化の動きをより広い地域と職種へと拡大するのが課題です」(川西氏)
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