「非正規保育士1200人を雇い止め」「週5日働いても"月収11万円"」 そして《非正規公務員》が消えた…悪待遇が招いた「これ以上ない悲劇」

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はむねっとも参加している「なくそう!官製ワーキングプア集会実行委員会・東京」が首都圏の106自治体を調べたところ、25年には45の自治体が3年雇い止めのルールをやめており、「雇用安定に向けて一歩前進しました」(瀬山氏)。

一方で、37の自治体が「市民に平等に雇用機会を提供するため」といった理由で、ルールを維持している。

週5日働いても「月収11万円」

採用難に拍車を掛けるもう1つの理由が、賃金水準の低さだ。

はむねっとが毎年実施している非正規公務員のアンケート調査によると、25年の回答者480人のうち約6割が250万円未満の年収で働いていた。

週30時間以上35時間未満と、比較的勤務時間の長い人であっても、16%は100万~150万円の年収しか得ておらず、アンケートの自由記述には「週5日働いて資格もあるが、月収は11万円」といった声もあった。

「勤務時間を考えると、にわかには信じられないほどの低賃金です。中には更新を繰り返して10年以上働いているのに、この水準だという人もいました。16%の約半数は自分が主に生計を支えているとも回答しており、かつかつで生活していると考えられます」(瀬山氏)

はむねっとのもう1人の共同代表、渡辺百合子氏は「非正規公務の職場は、社会的弱者の支援や図書館司書などやりがいのある仕事も多い。このため当事者も『働き続けること』を優先し、低賃金でもやりがいがあるからと、自分を納得させてきた面もあるのでは」と分析した。

地方自治法が改正され、24年度からは会計年度任用職員にも民間企業のボーナスに当たる「勤勉手当」を支給できるようになった。しかしアンケートでは「勤勉手当がついた分、毎月の給料を減らされ実質の年収は変わらない」といった回答も複数見られたという。

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