「非正規保育士1200人を雇い止め」「週5日働いても"月収11万円"」 そして《非正規公務員》が消えた…悪待遇が招いた「これ以上ない悲劇」
「公募の面接官である園長の心証を悪くしないよう、『園の運営に関する意見を控えた』という声もあり、保育の質への悪影響も懸念されます。欠員が増えて現場の人手不足のしわ寄せを受けるのも、園に通う子どもたちと保護者です」(尾崎氏)
非正規公務の問題に取り組む団体「はむねっと(公務非正規女性全国ネットワーク)」共同代表の瀬山紀子氏も、「単年度ごとの雇用でいつ雇い止めになるかわからない、という不安がつきまとうことが、人が集まらない大きな要因だと考えています」と語る。

「3年公募」に関する規定を削除したが…
民間企業ではパートタイマーら非正規人材を確保するため、正社員登用や非正規のままでもキャリアアップできる制度などの整備が進められている。
それに対して会計年度任用職員は多くの場合、実績や能力に関係なく一律に雇い止めされる。働き続けるには再び公募を受けなければならず、組織再編で定員が減ったり面接官である上司と折り合いが悪かったりすれば、再任用されない恐れもある。
こうした働くうえでの不安定さが、人材を集める際もマイナスに働いているという。
「多くの自治体が欠員を抱えているにもかかわらず、自治体という『堅実な職場』のイメージがまだあるからか、働き手を確保することへの危機感が希薄です。このため待遇改善も雇用の安定化もなかなか進みません」(瀬山氏)
会計年度任用職員制度は2020年度に始まったが、当時から多くの自治体が、人事院のマニュアルに従って「任用(採用)後3年で雇い止めし、新たに公募を実施する」ことをルール化してきた。
しかし人手がなかなか集まらない現状を受け、人事院は24年6月、マニュアルを改正して「3年公募」に関する規定を削除した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら