「ポスト石破」「自民党再生」をめぐって盛り上がるはずがナゼ? 総裁選2025が見事に《中だるみ》に陥ってしまった大きな原因

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昨秋の衆院選と今夏の参院選での大敗によって、自民党が初めて衆参両院で少数与党となったことを踏まえて、今回の討論会では「野党との連携」についても重要な論点となった。

すでにこれまでの会見や討論では、小泉、高市、茂木の3氏が連立の枠組みの拡大を目指す立場を明確にしている。討論会で「日本維新の会との連携」を問われた小泉氏は、水面下の交渉について「まったくない」と否定。新総裁となれば国会での首相指名選挙までに連立拡大を目指すとしている高市氏も、「相手の党に対しても失礼だ」と言及を避けた。

出馬会見で具体的な連携相手として日本維新の会と国民民主党を挙げた茂木氏も、「政策の優先順位を決めて、政策の一致を見て、連立の話になる」と指摘。「選挙区調整から入れば連立拡大はできない」と踏み込まなかった。このため、新総裁が選出された後の政権の枠組みについては、不透明なまま今後の論争に持ち越される形となった。

総論すると、いずれの候補者も「“ワン自民”による対立回避に向けて、とがった主張を避け、予定調和の応答を繰り返した」(記者クラブ担当者)。そのため、「昨年とは様変わりした、盛り上がりに欠ける論戦」(同)となり、多くの動画視聴者からも「まったく面白くなかった」という反応が相次ぐ結果となった。

じわり影響力をにじませる石破首相

そうした中、国連総会での講演などのために23日から訪米していた石破首相は、24日午前(日本時間同日午後)、訪問先のニューヨークで記者会見を開いた。

その中で、総裁選については「この1年間、本当に共に汗し、共に涙してきた方が多くの支持を得られることを個人的に望む」と述べ、間接的な表現ながら小泉、林両氏が後継者となることへの期待を示した。併せて「政治とカネの問題にきちんとした解決策が見いだされることも大きな論点となり、国民の支持を得るために必要だ」とも指摘した。

その一方で、戦後80年に当たり検討している先の大戦に関する見解について、「内容はまだ固まっていない」としたうえで、「戦争の記憶を決して風化させてはならない、二度と戦争を起こさないという観点が重要だ」と述べ、総裁選終了後の10月上旬にも「閣議決定を経る『談話』とはせず、首相個人の『メッセージ』として発表する」という方針を明らかにした。

石破首相は総裁選が最終局面を迎える30日に訪韓し、シャトル外交として日韓首脳会談を行う予定。「次期臨時国会の直前まで首相の職務を完遂する考え」(側近)で、「今後の言動が総裁選の行方にも一定の影響を与える」(政治ジャーナリスト)ことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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