「ポスト石破」「自民党再生」をめぐって盛り上がるはずがナゼ? 総裁選2025が見事に《中だるみ》に陥ってしまった大きな原因
昨年は強い意欲をにじませた首相就任時の靖国神社参拝について、複数の質問者が「今回はなぜ明言を避けるのか」と追及したのに対して、「前回総裁選のときも、別にまだ首相になっていないのに、言う必要はなかった」と釈明。そのうえで、「(参拝問題が)外交問題に絶対されてはいけない、されるべきことではない」と繰り返し、「適切に判断する」との表現で、内外の状況次第で首相就任時の参拝は見送る可能性を示唆した。
さらに、高市氏が22日の自民党本部での所見発表演説の冒頭、「高市早苗、奈良の女です! 大和国で育ちました」と語り始め、独特の抑揚をつけて『万葉集』に収録された大伴家持の和歌「高円(たかまど)の 秋野の上の 朝霧に 妻呼ぶ雄鹿 出で立つらむか」をよんだうえで、「そんな奈良のシカをですよ! 足で蹴り上げる、とんでもない人(外国人)がいます」などと外国人観光客の振る舞いについての強い反発をぶち上げたことも、追及材料として取り上げられた。
というのも、外国人観光客の“シカいじめ”については、当該の公園の運営者が「そのような事例の報告はない」と明言していたからだ。質問者から「きちんと確認したのか」と問い詰められると、高市氏は「自分なりに確認した」などとあいまいな釈明を繰り返した。
この点について、高市氏の陣営内からは「まったく相談がなかった。外国人批判のつもりのようだが、あんなことを言えば党員・党友の支持が減るのに……」(麻生派幹部)などと、不安視する声も漏れてくる。
政権の枠組み議論も今後に持ち越し
総裁選告示後、小泉、高市両氏を猛追しているとされる林氏も、23日夜のテレビ討論の中で、石破首相退陣についてを「必定だった」と発言し、後に撤回・謝罪したことを「何事も慎重に答える林氏らしくない」と真意を問われた。
これに対して林氏は「『必定』ではなくて『(首相は退陣を)ずっと考えていた』と言えばよかった。言葉の使い方を誤った」などと、苦笑交じりで釈明する一幕もあった。
5人の候補者の中で最高齢で「総理以外の要職はすべて経験した」とされる茂木氏に対しても、「なぜ、次の首相に誰がふさわしいかを聞いた各種世論調査で支持が低迷しているのか」という“直球質問”が飛んだ。
茂木氏は「さまざまな役職を経験してきた立場上、思い切った発信ができなかった」と交わし、「要職から解放された1年間で、『怖い人』に見られないよう変身に努めてきた」と、“ニュー茂木”をアピールした。
また、小林氏も、昨年の討論会などで石破首相が主張した「防災省」について「必要ない」とした発言を、今回は修正した点が追及材料になった。小林氏は「指揮命令系統がシンプルでなければいけないと指摘し、(その後の政府の構想で)そこが明確になったので、問題ないと受け止めている」と反論して、なんとかやり過ごした。
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