「アルゼンチンのトランプ」ミレイ大統領が直面する「痛みを伴う改革」への逆襲…行財政スリム化に議会が反発、揺り戻して「負のサイクル」に戻るのか

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が「経済のドル化」を旗印に努めてきた構造改革に、暗雲が垂れ始めている。
8月22日、アルゼンチンの議会上院が、昨年7月に公布された行財政改革のための5つの政令を無効にすると決定した。それ以外にも、下院が年金支出などの増額を可決して上院に諮るなど、歳出拡大ムードを強めている。
アルゼンチンは10月26日に国会の中間選挙を控えている。上院72議席の3分の1の24議席、下院257議席の約半数の127議席が改選される予定だが、これを睨み、アルゼンチンでは政党間の駆け引きが活発化している。
とりわけ野党である左派勢力は、これまで大統領が進めてきた痛みを伴う行財政改革に対して、反発を強めている。
「痛みを伴う改革」は四面楚歌
ミレイ政権が率いる与党・自由前進(LLA)は少数与党であるため、議会では他の右派勢力の協力を得ている。ただし、穏健右派の中にはミレイ大統領の構造改革から距離を置く政治家もいる。また右派勢力からも左派勢力からも距離を置く第三勢力も、基本的にはミレイ大統領が推し進めてきた行財政改革に対して否定的な立ち位置である。
現状では、中間選挙は与党LLAが議席を積み増す公算が大きいものの、少数与党であることに変わりはないため、行財政改革を継続するためにも、穏健右派を含む他の右派政党とタッグを組み続ける必要がある。
4年の任期の折り返しが中間選挙後の12月に迫る中、改革を続けるために、ミレイ大統領は譲るべきものは譲る決断を迫られている。
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