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不透明感強まるエネルギー情勢、三菱商事ショックの洋上風力をどうするか。村瀬・資源エネルギー庁長官に聞く、エネルギー政策の進路

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──再エネでは、これまで国を挙げて進めてきた洋上風力発電で三菱商事が3つのプロジェクトから撤退を表明するという動きがあります。

世界的なインフレーションによる資材価格の高騰に見舞われ、世界的に洋上風力には逆風が吹いている。ヨーロッパやアメリカでも事業者の撤退が相次いでいる。加えて日本の場合は円安も影響している。

むらせ・よしふみ/1967年生まれ。東京大学経済学部卒。1990年通商産業省(当時)入省。経済産業省・資源エネルギー庁・電力・ガス事業部長、内閣府大臣官房審議官、内閣府政策統括官などを経て、2023年7月から資源エネルギー庁長官(撮影:筆者)

国内に風車メーカーが存在しない中で、日本の事業者は欧米の主要3メーカーに供給を依存しなければならなかった。三菱商事の3海域からの撤退は非常に残念だが、第7次エネルギー基本計画で示したように、方針が揺らぐことはなく、しっかりと進めていきたい。できるだけすみやかに事業者の再公募を実施したい。

なお、再公募に際しては、当初想定していなかった、世界規模でのインフレの進展などの事業環境の変化も念頭に置き、制度を改善する必要がある。

三菱商事が撤退した第1ラウンド(第1次入札)の再公募については、当初の想定と比べて年単位で遅れが生じることは否めない。三菱商事においては、その間、事業者として責任をもって立地地域に向き合っていただきたい。洋上風力は国策として進めてきたものであり、政府としても地域の声をしっかりとお聞きしながら、洋上風力への信頼が揺らぐことのないようにしっかりと対応していきたい。

フェアな競争が大前提

──三菱商事が3事業から軒並み撤退したことの反省点として、国内でサプライチェーンが未確立な中で、価格競争を前面に出し過ぎたことがあるのでは。

そうして視点も検証すべき点に含めつつ、制度をしっかりと見直すことが大事だと考えている。第1ラウンドでは、価格点および事業の実現可能性などの評価点をそれぞれ半分ずつの割合で設定した。結果論かもしれないが、事業可能性についてもう少しウエイトを置いて考えておくべきだった可能性はある。

次ページ第2、第3ラウンド「撤退ドミノ」の可能性は?
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