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法を守らないトランプ大統領と取引するアホ臭さ/諸外国は「ディール」の不履行を覚悟せよ

ドナルド・トランプ米大統領(右)とイタリアのジョルジャ・メローニ首相(写真:Chris Kleponis/Bloomberg)

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。
米国への輸出品の大部分で関税を一律15%とすることに米国と合意し、今後3年間で米国から7500億ドル相当のエネルギーを購入し、米国に6000億ドルの投資を行うと約束したのは、「明らかに私たちが得られる最善のディール」だった──。欧州連合(EU)を代表して関税交渉を担当した欧州委員会委員のマレシュ・シェフチョビチは、そう語った。
本当にそうだろうか。ドナルド・トランプが米大統領に返り咲いてからというもの、米国の貿易相手国だけでなく大学、法律事務所、大手メディアなども、ある問いに直面せざるをえなくなった。むき出しの権力が振り回される劇場の舞台に上がるのは割の合う行為なのか、それともトランプと取引することは無法状態の広がりを一般化させるものでしかないのか──。
トランプの不誠実な取引
この問いが根本的なのは、無法状態においては、取引が「最善」かどうかうんぬんすることすら無意味となるからだ。取引は法の支配が与える安定と予測可能性がなければ機能しえない。そうしたものが欠如した中で残るのは、はったりと威圧だけだ。
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