とくに製薬会社や研究機関から切望されていたのが、75歳以上の後期高齢者のデータだ。健保の加入は75歳未満まで。75歳以上の治療実態を把握するためには、自治体が保有する国民健康保険や後期高齢者医療制度のデータが必要だった。
また、健保などデータでは、症状があっても病院に行かなかったり、服薬をやめてしまったりする人について分析できない。「患者がどう治療と向き合っているのかということを知るために、個人とつながるツールは欠かせない」(幡鎌さん)。
DeNAは、すでに健康保険組合や自治体向けに健康支援アプリ「kencom」を提供しており、個人の血圧や歩数といった情報を収集する体制ができていた。
幡鎌さんはDeNAでの医療ビッグデータ事業の立ち上げを決意し、転職に踏み切った理由を「自治体のデータの活用や、アプリとデータ活用事業の連携について、DeNAは『もう明日からやっていいよ』という姿勢だった」と振り返る。入社を決断する前には南場智子会長とも直接話し、背中を押されたという。
分析できるデータにする必要
とはいえ、ほとんどゼロからの事業立ち上げは簡単ではなかった。「DeNAは企業向けの事業になじみがなく、収集したデータを販売することに抵抗感のある人もいた。第三者提供の許可を得られていたデータは少なかった。」(幡鎌さん)。
取得したデータも、匿名化する際に必要な情報まで失われてしまっていたため、どこまで匿名化の基準を緩和しても問題ないのかということを社内で説得し、まず販売できるデータベースとして整備する必要があった。
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