「なんとなく」は通用しない、国語が伸びない子に効く東大生"対話式"の学習法とルール4つ 大人先攻、会話量「1:1」で思考過程を引き出す

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【ルール2】保護者側が「先攻」になる
親子の話す割合を近づけるのに即効性があるコツは、親が「先攻」として発言の見本を示すことだ。子どもからすれば、いきなり「あなたはどう思う?」と訊かれてもどのように答えればよいか分からず、結果として質の高い答え方を学ぶ機会を逸してしまう。

そこで重要なのが、「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」と問いかけることだ。そうすることで、子どもは「どのように話せばよいか」を理解し、自信を持って正しい答え方で語れるようになる。

【ルール3】「経験」「認識」「理由」を訊く
国語の対話において、「これ分かる?」「これ知っている?」はNGワードと言ってもよい。こうした問い方では、対話ではなくクイズになってしまい、子どもからは「分かる」か「分からない」かの単純な答えしか返ってこないため、実りある対話になりにくい。その代わりに有効なのが、「経験」「認識」「理由」を問いかけることだ。

たとえば、

「この話の主人公と同じような経験をしたことはある?」(経験)
「そんな経験をしたら、どんな気持ちになる?」(認識)
「どうしてそのように思ったの?」(理由)

といった問いをすることで、子どもからより多くの情報を引き出すことができる。

「文章の読解」とは、「文章そのものに書かれていること」と「自らの解釈」とを反復横跳びするようなものだ。そしてこの方法を学ぶ手段が、前述のように、あえて子どもの考えを訊いてその世界観を明確にし、そこから実際の文章の内容とのズレを見出すということなのだ。

子どもの世界観と、実際に書かれた文章との齟齬を見抜くためにも、子どもには「その考えは、文中のどこを根拠にしているか」を聞くと効果的である。

【ルール4】「模範解答」は叩く対象として使う

もし、保護者自身が「うまく答えられない」「なぜ正解なのか分からない」と思った場合は、親子で一緒に模範解答を見てみて、ともに批判したり検討したりすることでも十分な対話になる。子どもにとっては、「親にとっても難しい問題である」ということが分かることも重要な価値を持つ。

「模範解答にはこう書いてあるけど、どういうことだろう?」
「この模範解答は、この点にツッコミたくなるけど、あなたはどう思う?」

などと問いかけることで、模範解答すら問いの材料にしていく姿勢が大切だ。

模範解答を“終点”にするのではなく、さらに思考を深める“出発点”にできるかどうか。それが、国語を楽しめるかどうかの分水嶺かもしれない。

国語は、公式や暗記で片づけられる科目ではない。それゆえに、思考のプロセスを言葉にしていく力が問われる。そして、この力を育てる一番の近道が、問いを繰り返す“対話”だ。

今まで「なんとなく」で学んでいた国語を、「きちんと説明できる国語」に変えることは、決してハードルの高い試みではない。家庭で実践できる「対話」を、ぜひ今日から試してみてほしい。

(注記のない写真:もとくん / PIXTA)

執筆:Overfocus代表 神田直樹
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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