「なんとなく」は通用しない、国語が伸びない子に効く東大生"対話式"の学習法とルール4つ 大人先攻、会話量「1:1」で思考過程を引き出す

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こうした特質上、国語の解答は“勘”や“センス”に頼るほかなく、講師や保護者もまた、「人に国語を教えるのはかなり難しい」という悩みを抱えていることが多いのだ。

結果として、大人は目の前の文章やテストについて分かりやすく“説明”することに終始してしまうわけだが、子どもがこの“説明”を自分ごとに捉えて、別のテストで初見の問題に活かすというのは至難の業だろう。そもそもこれができる子であれば、すでに国語のテストで苦労しない程度の国語力は身についているはずだ。

実際、画一的な集団授業の中で国語の解き方を学ぶのは非常に難しい。現在テストで問われているような、“文章の解釈を求められる国語のテスト”の歴史は意外にも短い。それよりも、日本で集団授業が基本となった歴史のほうがずっと長いのだ。

教員が一方的に解答解説を説明し、生徒がそれを聴いたり板書したりするという形式は、「なぜその答えになったのか」「自分の答えはなぜ間違いなのか」を腹落ちさせる機会に乏しくなる可能性がある。国語の学習における最大の課題は、「一方通行」という点にある。

国語の問題を理解できる本質は“対話”にあり

では、どうすれば国語の「なんとなく解く」の壁を乗り越えられるのか?カギは、双方向でのやりとり、つまり「対話」をすることにある。国語における「対話」とは、生徒が自分の解答や考えを口にし、講師や保護者がそれに対して問い返し、さらに子どもが言葉を足したり修正したりして考え直すことだ。こうした双方向のやりとりを何度も繰り返すことで、「隙のない解答」と「読解における思考方法」を体験的に学んでいく。

では、具体的にはどうするのか。

まず、子どもには自分自身でじっくり答えを考えてもらう。このとき、解答はきれいに整理されている必要はなく、思ったことをポツポツと話してもらう形で良い。次に保護者は、子どもにその答えを出した理由を説明してもらう。このフェーズでのポイントは、正しいかどうかではなく「思考過程」を引き出すこと。対話は、子どもの頭の中を覗くところから始まる。

これができたら、「根拠はどこにある?」と問題に戻る。こうした問いかけを通じて本文との対応関係を問うことは、子どもが「本文を根拠にする癖」をつけるきっかけとなる。

うまくいかない場合は、「他の可能性」に目を向けさせたり、「たたき台」として保護者が自分の考えや模範解答を持ち出したりしても良いだろう。こうしたやりとりが一巡した後、最終的に「その答えは、文章を読んでいない人にも伝わるのか」という問いに答えるべく、何度もツッコミを入れながら隙のない解答に到達することが目標になる。

対話で学ぶ最大のメリットは、このようなやりとりをかなり速く回せる点だ。これらのやりとりを口頭で繰り返せば、1つの文章につき30~60分ほどでできるであろう。もし、これを“添削”などで行う場合は数日以上かかることになり、子どももやる気を失ってしまう。

親子で対話をするときの4つのルール

対話は、なにも教員や塾講師でないとできないものではない。むしろ、子どもについてよく知っていて信頼もある保護者だからこそ、非常に強力な効果を生む場合もある。

ただし、親子で対話をする際にはいくつかの注意点がある。これらを守れば、親子間でも国語を教えられるようになるだろう。

【ルール1】お互いが話す量は1:1を心がける
対話とは、文字通りお互いが対となって話すことであり、どちらかが一方的に話していては成り立たない。しかし親子関係においては、お互いが同じ量だけ話すのも難しい。ここで保護者が意識すべきなのは、保護者が9割以上話すような“指導”状態と、子どもに9割以上話させる“詰問”状態を避けることだ。

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