「誘致しない」宣言、駅前進出に猛反発…“データセンター乱立”で揺れる自治体の苦悩 従来の集積地からあふれ出した印西市は「キャパオーバー」間近か
DCの建設ラッシュは、都心部においても顕著だ。東京や大阪の中心部には、複数のネットワークを相互接続する拠点「IX(インターネットエクスチェンジ)」が集積し、通信の遅延を抑えるために、IXに近い場所にDCを整備するのが有効とされているためだ。

データセンターの新たな誘致は原則行わないと宣言した京都府精華町の説明。傍線は編集部(画像:京都府精華町のホームページより)
目下、2つの大型DC計画が進む東京都江東区では、住環境悪化などを懸念する住民と事業者との間で軋轢が生じている。このうち千石地域の計画をめぐっては、精華町と同じく、非常用発電機の稼働に伴う騒音被害を懸念する声などが住民から上がる。DC整備を予定する事業主の1社は、アジアの大手インフラファンド傘下にあるシンガポールのエンピリオン・デジタルで、今回が初の日本進出となる。
住民の声を踏まえ、区は独自の「データセンター建設対応方針」を設けて今年4月から適用。区内で大規模DCを整備する事業者に対し、120日前の標識設置や、DCの屋外に設ける空調室外機などの設備機器の位置明示を行うように求めた。ただ、「対応方針は事業者にお願いするもので、強制力はない」(大久保朋果・江東区長、4月8日の記者会見時)という。
市内用地が埋まりつつある印西
DCをめぐるトラブルは、国内で最大規模のデジタルインフラ集積地も例外ではない。約30棟のDCが稼働するとされる千葉県印西市だ。
過去の印西におけるDCの立地状況を調べると、市内の土地が埋まりつつある状況がうかがえる。各事業者は秘匿性が高いDCの場所を基本的に公表していないが、記者が市内各地を回って立地状況を確認したところ、DCの集積エリアは下記のマップの通り、大きく3カ所に分類することができる。
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