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低価格競争に参戦し大谷翔平効果も不発に終わった伊藤園、巧みな値上げ戦略で回復してきたコカ・コーラ・・・両社の明暗を分けた決定的な差とは?

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伊藤園の柱は、国内販売数量の約7割を占める茶系飲料。特に、看板商品のお〜いお茶や麦茶飲料「健康ミネラルむぎ茶」はカテゴリーでシェア首位を誇る。

ただ、お茶の市場環境は激化している。茶系飲料は、清涼飲料の国内品目別生産量で最も多い23.9%を占める超激戦区(2024年実績、全国清涼飲料連合会調べ)。そんな中、競合品と味での差別化が難しく、また小売店のプライベートブランド(PB)へ需要が流出しているのがメーカーの悩みのタネとなっている。

そのため茶系飲料の数量を確保するには、大規模な広告・販促によるイメージアップが重要となる。実際、2024年春は多くのメーカーが緑茶ブランドを大きく刷新し、著名なタレントを起用した大量の広告宣伝や、小売店の売り場拡大などの販促活動にかなりの力を入れた。伊藤園の大谷選手起用にも、同様の狙いがあった。

他方、コスト増は深刻であり、昨年10月には飲料各社が価格改定を実施。しかしながら、リニューアル品の販売促進やPB品からの需要奪還に走った結果、価格競争に陥った。「2024年は結局、どの会社も値上げ後に納品価格を上げなかった、もしくはリベートで価格を抑えていた印象だ。とにかくお茶はシェア争いが激しすぎる」(ある飲料業界関係者)。

茶系飲料を主力とする苦悩

伊藤園は、安価な他社品の販売数量が伸びることで、自社商品が小売店の陳列棚から外されたり、仕入れ量を減らされたりすることを恐れた。そうして低価格競争に参戦したにもかかわらず、2025年4月期の茶系飲料の国内販売数量は前期比で微減。価格を下げたうえに数量も減り、採算は著しく低下した。

競合他社が健康飲料や炭酸飲料など、他の高採算な商品群で利益を補完する戦略を取る中、茶系飲料の構成比が高い伊藤園にはそれが容易でなかった。

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